バックミラーのトップ企業は働き方が斬新だ 大東プレス工業は「現場女子」が大活躍

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女性の活躍は、製造現場だけではありません。役員にも女性がおられます。中国の方です。理科系の女性で、就職先を探している、と飛び込みで来訪されたそうです。

「他の会社も回ったそうですが、最終的にうちのような小さい会社を選んでくれました」と吉田会長。人材確保は中小企業の大きな課題ですが、「男女、国籍に関係なく仕事のできる人を活用します」という会社の姿勢が中国女性の心をつかみました。彼女はその後、大活躍。中国、タイへの海外展開に大いに貢献し、役員に抜擢されました。この他にも課長、主任、班長にも女性が登用され、会社の至る所で女性が活躍しています。

しかしバスでトップシェアと言っても、日本全国、バスの台数は限られているのでは?

商品のバックミラー(提供:大東プレス工業)

そんな筆者の疑問に、吉田会長から「竹原さん、バス1台にミラーはいくつ付いていると思います?」と尋ね返されました。「さぁ、前の左右と運転席の上、それから後ろの大きなバックミラーと、4~5個ですか」と答えると、「大阪市のワンマンバスは、全部で11個付いています。運転手の目のポイントから見て、いろいろな角度に調整できるようになっています」との答え。乗用車の2~3倍必要で、単価もそれなりに高いので、マーケットは十分大きいと言えそうです。

新たなバックミラーが次々に誕生

そして、新しい市場の創造にも挑戦していますが、その原動力は、先代社長の父親の言葉でした。

「親父には『中小企業はパテント(特許)を取らないと生き残れない。パテントにするにはどうしたらいいか、それをつねに考えて物を作れ』と教えられました」

そのパテントへの努力から、新たなバックミラーが次々に生み出されています。満遍なく濡れる超浸水性の力で雨の日でもよく見える「レイニー・ミラー」。割れたガラスで2次災害が起こらないように特殊塗料を塗って鏡が飛び散らない「コートミラー」。ミラーの上に小さなミラーを付けた補助具としての鏡「オンブミラー」等々、交通安全に資する商品群です。

「商品の生まれるきっかけはお客様からのリクエストが多いです。われわれから、市場を見てこういうものがあれば便利なのでは、と提案することもあります。いまや、安全はおカネで買う時代なんです」

会社はそこで働くスタッフみんなのもの。女性パート社員、外国人役員と人材を活かすことによって成長を続け、平成26年には経済産業省の「グローバルニッチトップ企業100選」にも選ばれました。「働く人が幸せになると、その幸せがお客さんにも届くと思うんです」と吉田会長。女性の働き方改革を考えるうえで大きなヒントを与えてくれる、人に優しい企業だと思いました。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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