看板は会社の顔といわれ、皆さんいろいろ苦心されています。今回取り上げるのは、特徴的な立体看板を製作して、自分もお客さんも売り上げを伸ばしている、といういかにも大阪らしい会社です。
「38歳で脱サラして看板屋を始めました。あるとき、立体看板を作ってほしいと言われ、チャレンジして製作したのが始まりです」
軽くて加工しやすい発泡スチロール
こう語るのは、ポップ工芸の社長の中村雅英さん。その製作第1号は、大阪ミナミのラーメン店の大きな竜の看板でした。当時はもの珍しさもあり、取り付けの際に黒山の人だかりができたそうです。道頓堀では今でも、この大きな竜が道行く人たちを上から見下ろしています。そうはいっても恐ろしげな顔でなく、どことなくとぼけた感じがいかにも大阪的。これが評判となり、同じ道頓堀に、ユニークな立体看板が立ち並ぶようになりました。
原材料は、軽くて加工しやすい発泡スチロール。熱した鉄線で大まかに切り、次に包丁ややすりで細かく形を削り出します。それに軽くて強度の高いFRP(強化プラスティック)加工を施し、塗料が塗りやすいように表面を整え、質感が出るよう丁寧に塗装して本物そっくりに仕上げます。クライアントからの注文は、簡単なイラストなどで設計図がないこともしばしば。そこを職人の技で一気に作成します。立体看板に手応えを感じた中村社長は、普通の看板作りに必要な設備をすべて処分。大阪の社長さんらしく「目立ってなんぼ」の立体造形看板に軸足を移した看板ビジネスを進めています。
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