満員電車では中吊り広告の「出番」が大きい

目下のデジタル広告は情報量が少なく力不足

電車の車内の中吊り広告は文字情報が多く、つい読んでしまう(写真:鉄道ジャーナル)
鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2017年3月号「中吊り広告に明日はある」(筆者:鍋倉紀子)の一部を抜粋して掲載します。

 

上海に住んでいた頃、朝夕1時間を通勤電車で過ごしていた。堂々とケータイで話す人が多いのは中国ならではの光景であったが、ロングシートの座席を確保した乗客がスマホに指を走らせ、サイトをあちこち見たりゲームしたりチャットやメールを始めるのは日本と同じだろう。しかしいちばん多いのは、何もしていない人たちであった。

中国ではリラックスできない

何もしていない人は何をしているかというと、ずっと周囲を「ガン見」している。乗客やその荷物、隣人のスマホ画面、立っている人が読んでいる新聞をガン読みしていることもあった。中国人にとって、見るといえばガン見が通常モードであり、路上も車内もルールなどあってないものがごときカオスであり、スリや誘拐も多く、全体的に外の世界では油断もスキもない。ふと足元に流れてくる正体不明の液体にも緊張が走り(毒物ではなく排泄物の恐れから)、新車であれ、瞬く間に汚れていく座席も床も、リラックスとはほど遠かった。

日本では車内犯罪が少なく、クッション入りの座席が並ぶ清潔な車内は居住性が極めて高い。だから混雑した通勤列車であっても「電車に乗る」以外のことをする余裕のある人が多いように感じる。しかし車内の乗客をしげしげ見回して楽しむことは許されていない。じーっと見ているようで実際まったく意に介さないのが中国人なら、全然見ていないようでチラリとしっかり見ているのが日本人だろう。人や車内の様子をそれとなく視界におさめた状態で、さらに何らかの生産的なことをして時間を潰す。そんな日本の電車でおなじみの広告が、スマホの台頭、デジタルサイネージの登場で、改めてその存在意義が問われているという。

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