売上高の増加とともに営業利益も増加しているのが望ましい。売上高が伸びていても原価を抑えられなかったり、費用を使い過ぎて営業利益が減少しているのは、よい企業と言えない。
ちなみにてるみくらぶの売上高は、2013年9月期から増加していたが、利益を公表していなかった。広告宣伝費を使い過ぎて、利益が出ていなかったので、実態を隠していたのだ。
3つめは「財務内容」の確認である。財務内容のチェックというと、難しく聞こえるかもしれないが、簡単にいえば借金が多いかどうかを把握するということだ。
見るべき項目は「自己資本比率」。自己資本比率について詳しい説明は割愛する。基本的には数値が高い方がいい。自己資本比率が高いということは、借金にあまり依存せず、経営できていることを意味する。
経営分析の教科書には50%以上が望ましいなどと書いてあるが、実際は50%以上なくても問題はない。自己資本比率は業界ごとにバラツキがある。たとえば、金融関連企業は自己資本比率が低いが、製薬会社やテレビ局は高いといった傾向がある。同業他社と比べて高ければいいが、著しく低い場合は何か問題があるかもしれない。
売上高や営業利益が伸びていても、自己資本比率が低い場合もある。こうした企業は問題を抱えていることがあるので注意しよう。
オリンパスが一時危機に陥ったケース
少し話は古くなるが、2011年7月にオリンパスの粉飾決算が発覚し、経営が大混乱するという事件があった。同社の株価は急落、上場廃止の瀬戸際に立つことになった。
実は発覚以前の同社の業績は好調だったが、同業他社に比べて自己資本比率が著しく低かった。2010年3月期や2011年3月期の業績だけを見て入社を決めた内定学生(2012年4月入社)は肝を冷やしたことだろう。
自己資本比率がマイナスになっている状況を「債務超過」と呼ぶ。借金の額が資産を上回った状態だ。これは極めて危険な状況であり、その後、倒産に至ることもある。報道によれば、てるみくらぶは2016年9月期で約75億円の債務超過になっていたという。結果的に半年後に倒産してしまった。
最近、東芝のニュースで、債務超過という文字を目にすることが多いのではないか。原子力事業が不振で借金が多すぎるため、優良資産を売却して、2017年3月期決算での債務超過を回避しようとしていることが連日報道されている。
債務超過が確定していなくても、債務超過について言及されている企業には要注意だ。債務超過という語句には敏感になってほしい。
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