今後もトランプ政権が共和党をまとめられないとすると、トランプ政権が目指す、減税やインフラ投資といった株式市場が期待する政策が、実行できるかどうかは、「極めて不透明」あるいは「やや期待薄」と言わざるを得ない。
これまでの、ドルと株価の「トランプ・ラリー」には、(A)トランプ氏は現実主義者なので案外普通の共和党大統領になるのではないかという期待と、(B)トランプ氏が目指す減税とインフラ投資はそこそこに実現するのではないか、という二つの期待が都合良くミックスされて認識されてきた市場側の「過剰期待」があった。この過剰期待の、少なくとも(B)に関する部分が剥落したのが、この間の株式投資家にとっては不幸な変化だった。
トランプ劇場の「次のネタ」は何か?
政権運営が上手く行かない場合に、政治家がしばしば選ぶのは、外に敵を作って、国民の批判の目を逸らしたり、身内の結束を図ったりすることだ。
目立ちたがりで負けず嫌いで、近年、話題を作りつづけることで道を切り開いてきた成功体験を持つトランプ氏が、(1)北朝鮮あるいはシリアに武力介入するか、あるいは、(2)中国を相手とする貿易摩擦を問題化する可能性は、それぞれに無視できるほど小さくない。
政権の多くのポストの承認が進まない現段階で、トランプ政権が、たとえば北朝鮮に先制攻撃できるのかは、常識的には疑問だと筆者は考えるが、「絶対にやらない」とも言い切れない。
一方、トランプ・習近平会談(6・7日)では、北朝鮮問題の他に、経済問題が話題に上ることは間違いない。トランプ氏としては、強硬な貿易不均衡批判はしないのではないかと予想するが、支持者の手前を考えると弱い態度も見せにくいので、為替レート問題にスポットライトを当てる可能性があり、その場合には、そのとばっちりを食って円高に為替レートが振れる可能性が否定できない。
北朝鮮に関連する武力衝突が起こった場合、株式相場的に最も起こりそうなシナリオは、「暴落後の、切り返し」だろう。
全て仮の話だが、仮に、米国が北朝鮮に先制攻撃を仕掛けて、あるいは北朝鮮が暴発して、北朝鮮のミサイルが日本の国土のどこかに着弾するような事態が起こった場合、当初の反応は株価の大暴落だろう。
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