「ホワイトハウスの暗闘」で生き残るのは誰か

「シリア空爆」「北朝鮮緊張」で見えてきたもの

ホワイトハウスでのバノン首席戦略官の微妙な「立ち位置」が見えた「シリア空爆報告」。トランプ大統領から最後まで信頼されるのは誰か(写真 提供:The White House/ロイター/アフロ)

トランプ大統領は、本当に北朝鮮も攻撃するのか?

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ドナルド・トランプ大統領は骨の髄までビジネスマンである。だから大統領としての「最初の100日」を、”The First Quarter”と呼んでいる。政権発足から100日目は、あと2週間(4月29日)で到来する。さてCEO型大統領は、第1四半期の業績として何をアピールするつもりなのか。

TPP(環太平洋経済連携協定)離脱を宣言したところまではよかったが、イスラム圏6カ国からの入国停止措置は司法に阻まれ、オバマケアの廃止&代替法案は共和党内足並みの乱れから提出延期となった。人事の承認は遅々として進まず、税制改正やインフラ投資などの懸案もいつになることやら。このままでは目玉になる業績が何もない……と焦りぎみだったところに、突然飛び出したのが4月6日夜(日本時間4月7日午前)のシリア空爆であった。

ええっ、「アメリカファースト」主義のトランプ大統領が、バッシャール・アル=アサド政権による残虐な化学兵器使用に怒って、人道的介入に踏み切ったって? いやあ、驚いた。人気が低迷している米大統領が、軍事行動によって政権浮揚を図るのは前例がないわけではない。ただし海外に関心の薄いトランプ支持者たちは、そんなことは喜ばないはずだぞ……と思っていたら、案の定、世論調査の数字はあまり変化がない。普通だったら、支持率が爆上げになってもおかしくないところなのだが。

それでもシリア攻撃は、政治外交面で幾重にもプラス効果を発揮した。まず議会内で超党派の支持が広がった。メディアの評価もそんなに悪くない。ロシアと対決姿勢を取ったことで、いわゆる「クレムリンゲート」(選挙期間中から、トランプ選対がロシアから支援を得ていたという疑惑)も下火になった。

しかも巡航ミサイルを発射したのは、ちょうど米中首脳会談の最中である。その勢いにのまれたのか、習近平主席は軍事行動に理解を示した。そして今回の攻撃により、軍事力の行使に慎重な「オバマ・ドクトリン」は完全に過去のものとなった。トランプ政権は何をするかわからない。転じて北朝鮮は、強烈なプレッシャーを受けることになった。

世間的には、「トランプはこのまま北朝鮮も攻撃しちゃうんじゃないか?」と心配する向きが少なくないようだ。今週のマーケットは「地政学リスク」モード全開で、「株安」と「有事の円高」が同時進行した。

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