でも、おカネや評価だけがインセンティブではないと社員の方は言います。
「書く力が身に付きました。レポートはほぼ30分で書けるようになりました。会議の発表でのコメントもすらすら書けます」
最初はおカネ目当てだった感想レポートも、自らの変化が実感でき、楽しみに変わってきたようです。社員全員に、読解力、文章表現力がついてきました。
1日ひとつのアイデア提出が研究員の義務
この業界は、つねに新商品を開発することが求められます。そうした天然調味料、香辛料の新商品を開発している「研究部」にお邪魔しました。
女性研究員の1人が、なにやらびっしりと書き込まれた大学ノートを手に、上司の方と面談しています。いろいろな新商品のアイデアを書き留めた「アイデアノート」です。研究開発スタッフは、毎日ひとつアイデアを出すことが求められているのです。名付けて「アイデア千本ノック」。ノートには、カレーライス用ふりかけ、豆腐味のドレッシングなど、聞いたこともない名前が並んでいます。これも報奨金の対象で、1アイデア300円です。1年間続ければ、@300円×365日で11万円ほどになり、けっこうな副収入です。
でも1日1本は大変ですね、と同情すると、その女性研究員はこう答えました。「最初は大変でした。でもコツコツ重ねていると、日頃からいろいろと考えるようになって、アイデアもコンスタントに出るようになりました」。
なんと、2年間で900個、ノート3冊分のアイデアを書いたそうです。その中で「青花椒(あおかしょう)」を原料とした調味料が商品化されました。普通の胡椒(こしょう)に比べ刺激が強いのですが独特の清涼感もあり、辛さを求める消費者向けの新商品につながりました。
西村会長は、経営者の務めについて次のように言います。
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