「社員のすばらしい個性を引き出すのが、経営者のいちばんの仕事です。大切なのは、社員ひとりひとりに能力を持ってもらうことです」
「読んだらスグ書くレポート」や「アイデア千本ノック」といった日々の努力の積み重ねで、社員のマンパワーも確実に成長しました。おかげで、業績もここ10年で25%ほど伸びたそうです。
中小企業の生きる道は「正体不明の会社」になること
「中小企業が大企業にのみ込まれないためには、『正体不明』の研究開発を進めなければなりません」
何のことかいな、と思ったら、その「正体不明」は、少量生産、多品種、他社にない(異)、不の除去、そして名人芸ということでした。「不」は、不味、不安、不正、不信などのマイナス要素を意味します。これらを払拭して、顧客のさまざまなニーズに対応し、他社がまねのできない独自商品の開発を目指す、というものです。
創業は35年前、自宅の台所で研究開発をスタートしました。現在では、中央研究所の他、各工場にも研究室を設置。天然の調味料にこだわった安全安心、そしてひと味違う調味料の開発に取り組んでいます。開発経費として売り上げの12%を計上、また人材の4分の1を研究部門に投入する等、会社の資源を最大限活用しています。おかげで、大手食品会社からの信頼も厚く、得意先は50社以上に及びます。
工場では、カレーのスパイスやインスタントラーメンの粉末スープ、そして野菜炒めのもとなど、気づかないうちにわれわれが口にしているものが大量に造られています。その結果当社の商品は、日本人1人当たり年間30グラム強を何らかの形で口にしている勘定になるそうです。まさに隠れた全国展開企業といえます。
もうひとついいな、と思ったのは、「ファインミシュラン」という試みでした。社員が周辺のおいしい店を探し、この「ミシュラン」に登録します。情報を共有して自分たちで食べ歩くだけでなく、お客様にもその情報を提供して楽しんでもらおうというものです。
筆者は会社勤め時代、当方主催の食事イベントがあると、いつもお店探しに苦労しました。あの店はもう行ったし、あそこは評判倒れといううわさだし……。仕事と違い「正解」がないのが悩ましいのです。こうした手持ちの「ミシュラン」があれば、あれこれ悩む時間も減ったかもしれません。
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