「森友学園問題」は哲学的に見てとても面白い

「哲学と世間の不幸な関係」が露呈している

森友学園問題を、筆者が「しばらくこの世に留まっていたい」と思うほどおもしろく思う理由とは(写真:アフロ)

世の中は、森友学園問題で揺れていますが、あまりにも「おもしろい」ので、しばらくこの世に留まっていたいと思うほどです。私が「おもしろい」というのは、真実をめぐって大論争をしているふりをしながら、みな真実それ自体には興味がなく、法に触れない限りで、できるだけ自分に有利なようにことを進めたいというゲームを大真面目に遂行している、ということ、こうしたゲームを遂行することが「正しい」と思い込んでいること、に対してです。

人間の健全な良識が打ち砕かれるから、おもしろい

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「国会」という厳粛な場であるから、そして天下の総理大臣以下の閣僚や政治家や官僚が総出演して、このゲームに熱中しているから、ことさらおもしろい。明らかな矛盾以外は、どんなに不合理なことでも「ありうること」としていったん承認され、明らかな矛盾でさえ、「そういうこともあるかもしれない」とみなされるからおもしろい。すなわち、人間の健全な良識が無残にも打ち砕かれるからおもしろいのです。

このことに現代人はあまりにも慣れてしまったので、不感症になっていますが、被追及者は、とにかく法に反していなければ逃れられるという魂胆で、できるだけボロを出さないように注意して応戦し、追及者は(1)どうにかしてそういう相手からボロを出させたい、(2)たとえそれができなくとも「外野(世論)」の力で相手を負けに追い込みたい、という力学に支配されている。

なんでこんなにずる賢い力学がまかり通っているかというと、われわれ人間は真実を求めることに情熱を覚えれば覚えるほど、相手を拷問してでも真実を求めがちになる。「これだ」あるいは「こいつだ」と直観した瞬間に、ありとあらゆる想像力をもってそれを真実へと仕立て上げようと驀進(ばくしん)する。そして、真実や正義の名のもとに都合の悪いものをことごとく抹殺するに至る。こういう人類の愚かな歴史から、真実よりもっと重要なことがある、それは人権だ、という思想が近代になってようやく生まれるに至ったということは、ここで私がわざわざ説明する必要もないでしょう。

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