労組の役割低下、賃上げ機運がしぼんでいる ロイター企業調査、「ベア実施せず」4割超
[東京 27日 ロイター] - 3月ロイター企業調査によると、今年の春闘で「ベアを実施できない」と答えた企業が42%を占めた。昨年の正規社員の賃上げ率(定期昇給とベアの合計)は2.14%だったが、8割超の企業がそれを下回ると回答。春闘の形骸化が指摘されるなか、働き方改革と賃上げの矛盾を懸念する声も聞かれる。
人手不足から外国人を雇用している企業は全体の半数近くにのぼるが、単純労働者の受け入れについては7割近くが消極的と回答、その理由として言葉や文化の壁を挙げる企業が多かった。
この調査は資本金10億円以上の中堅・大企業400社を対象に3月7日─21日に実施。回答社数は246社程度。
労組の役割低下、賃上げ機運しぼむ
今年、どの程度のベアを実施できそうかとの質問には、42%が実施できないと回答したほか、実施しても0.5%未満とする企業が28%、1%未満が12%で、8割を超す企業がベアは1%に満たないという結果となった。
定昇と合わせた賃上げについても2%以上との回答は19%にとどまった。1─2%程度とする企業が63%にのぼった。
これに対し、春闘を介さないケースが多い非正規労働者への賃上げは1%以下が40%、1─3%が50%、3%以上が10%となった。厚生労働省の統計では16年の時給上昇率は1.5%と過去最高の伸び率となっていたが、足元では有効求人倍率がバブル期以来の高水準となるなか、労働需給のひっ迫を受け、過去最高を更新する可能性もありそうだ。