若者を集めたくば「中二の心」をとらえよ! 数学界の有名人たちがカッコよかったので、僕は初め数学者志望だった

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魅了された革命の闘士が、数学者だった

エヴァリスト・ガロワ、1811年-1832年、15歳のときの肖像画(著作権消滅済)

ガロワはドラマチックな人生を送ったことでも有名で、僕はその話に魅了されてしまったのだ。

彼はフランスの革命運動に身を投じた活動家で、放校処分を受けたり、大学受験に失敗したり、王政の下投獄されたりした後、女性をめぐる決闘をして20歳の若さで死んでしまう。

決闘の前日、友人に宛てて大急ぎで書いた手紙に、かの理論のことが書かれていたのだが、ガロワ理論は、彼の死後、この手紙のおかげで世の中に伝わったのだそうだ。なんとも「中二ごころ」を刺激する話ではないか!

「300年解かれない難問」のロマン

もう一つ覚えているのは高校になったばかりの1995年頃のこと、それまで300年以上、誰も解くことのできなかった「フェルマーの大定理」という超有名な問題が、ついに解かれたというニュースだ。

こちらにもよく知られたエピソードがある。17世紀の数学者であるフェルマーさんが、ある本の余白に「これこれこういう定理が成り立つ。私はこの定理に関して真に驚くべき証明を見つけたが、それを書くにはこの余白は狭すぎる」と書きつけたのが発端になった。

ピエール・ド・フェルマー、1607~8年-1665年(著作権消滅済)

その後300年以上にわたって、あまたの数学者がこの証明に挑戦したものの敗れ去り、しかし20世紀も終わろうとする頃になって(フェルマーの時代よりも遥かに進んだ数学の道具を総動員して!)、やっとのことで証明がなされたというのだ。これまた興奮するエピソードではないか!

10代の僕はこういった話に大いに興奮して、自分もいつか数学の革命的理論を作り出してやるのだ、と思っていた。

さらに当然のこととして、その理論は革命的であるがゆえにすぐには日の目を見ず、僕は寂しく死んでしまうのだけど、でもきっと、死後にはみんなに認められるんだ、なんて妄想にふけっていた。

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