革命的な研究、栄光、突然の病、闘病、そして復活
ほとんどすべてのゲーム理論の論文で使われる「ナッシュ均衡」というコンセプトを20歳そこそこで発明・開発した“超重要人物”で、ゲーム理論(とその他の数学分野)の若きリーダーとして一身に期待を集めた。
しかし、統合失調症に苦しむようになった彼は、若くして表舞台から姿を消してしまい、その後の人生は病気との戦いに費やされた。研究もできず、教授職も辞職し、奇跡的な回復は、何十年も経ってからのことだった。1994年、彼はゲーム理論研究者として初のノーベル賞を受賞する。
ノーベル賞は存命でなければ受賞できないのだが、1994年当時、彼がすでに亡くなっていると思っていた人は、かなりいたらしい。というのも、ナッシュ均衡を提唱した論文が1950年頃で、その後かなり長い間、新しい論文も書かれず、公の場で姿を見かけるというようなこともほとんどなかったらしい。
ナッシュさんは今もご存命で、時々は学会に顔を出したり、研究発表をしたりしている。若き日の革命的な研究、栄光、突然の病、闘病、そして復活。ドラマみたいな実話だ。
そしてこんな話を基にした「ビューティフル・マインド」という映画があるのだった。ラッセル・クロウ主演で、ナッシュと妻のアリシアさんの、つらくとも温かい愛の物語(もちろん映画なので、いろいろ脚色はあるようです)。
これ、ちょうど僕が大学で経済学部にいた頃の映画なのだ。僕がゲーム理論の研究者になったのも、結局は映画に影響されてだったのかもしれない。大学生の僕の思考は高1のときからまったく成長していなかったようだ。
そんな事実にちょっと凹みながら、今回はこれでおしまいにして、次回は、スタンフォードでの日々の仕事について書こうと思う。
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