最大1000万円補償、「SNS炎上保険」の中身は? 被害を最小限に抑えるための保険が登場

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1000万円という保険金額は、過去のデータによると1カ月当たり300万円の費用がかかり、平均3カ月程度で事態が収束していることから導き出した。

同社は初年度の2017年度に100件、今後5年間で1000件の契約を見込んでいる。

ただ、課題も残る。 1つは「炎上」の定義だ。大野氏は「大企業ほど件数が大規模になる。それゆえ件数の多いことが『炎上』だとは必ずしもいえず、炎上の定義は難しい」と話す。

ブランド価値の毀損はカバーされず

そこで、本商品では保険加入の前提として、第三者が炎上かどうかを認定するモニタリングサービスを導入することとした。

具体的には、同じSOMPOホールディングスのグループ会社であるSOMPOリスケアマネジメントと、エルテスが炎上の認定を担当する。

また、この商品がカバーするのはネット炎上で発生した対応費用に限られる。具体的には炎上の拡散防止に努めるために要した費用やコンサルティング費用、原因調査費用、対策に要したアルバイト代などだ。ネット炎上によって企業の利益やブランド価値が毀損しても、その分は補償されない。

「火災保険だと、火災の発生確率を弾き出せるが、ネット炎上の発生確率はわからない」(大野氏)。保険商品を設計するに当たっては、損害の発生確率と平均損害額という2つのデータが最低限必要だが、ネット炎上によって利益や企業価値がどれほど毀損したかについて、数字を出すのは難しい。

ネット炎上はどんなに企業側が努力しても防ぐことには限界があり、経営を揺るがしかねないリスクでもある。こうした保険の導入検討を機に、ネット炎上のリスクについて、あらためて検討したほうがいいかもしれない。

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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