最大1000万円補償、「SNS炎上保険」の中身は? 被害を最小限に抑えるための保険が登場
販売した商品に異物が混入している。テレビCMの内容が女性蔑視、セクハラに当たる――。
SNSが本格的に普及するに伴い、「ネット炎上」の事例は後を絶たない。企業にとってみても、突然、思わぬところで発生するネット炎上への対策は頭の痛いテーマだろう。
そんな悩みやニーズに応える保険商品がついに登場した。損害保険ジャパン日本興亜が3月6日から発売を始めた「ネット炎上対応費用保険」だ。
最大1000万円の費用を補償
開発を担当した同社企業商品業務部の大野真樹・課長代理は「予想以上の反響で、私のところだけでもすでに数十件の問い合わせがある」とうれしい悲鳴を上げる。
損害保険会社の商品開発担当者は、世の中で発生している新たなリスクに対応した商品が作れないか、常日頃知恵を絞っている。今回の商品開発のきっかけは、ネット炎上の事例が急増していることだった。
東証マザーズ上場でネット炎上対策とコンサルティングを手掛けるエルテスの資料によると、ネット炎上の件数はここ数年、右肩上がりで、2015年は1000件に達している。SNSの利用率も7割近くに達し、スマートフォンの性能が向上するに伴って炎上件数はますます増えていくことが予想されている。
ネット炎上のパターンはさまざまだ。代表的な炎上事例の1つは、製品やサービスに対するクレームが拡散する場合。販売した製品に異物が混入している写真がツイッターにアップされ、瞬く間に拡散したケースや、テレビCMの内容が女性蔑視やセクハラに当たるとしてネット上で非難が集中し、打ち切りになったケースが当てはまる。
ただ、このケースは企業側も比較的事前の対策を講じやすい。もう1つが従業員による不適切な投稿だ。このパターンは、企業の防止策に限界がある。
不動産仲介業者の従業員が有名人の来店情報をツイッター上に漏らし、非難が殺到した事例や、従業員が職場の机を撮影した写真をインスタグラムにアップしたところ、投稿した写真に個人情報が写り込んでいたケースなどがある。
今回のネット炎上保険は、標準的な契約の場合、1事故当たり1000万円を限度に保険金を支払う。保険料は業種や企業規模、SNSの利用状況によって異なるが、年間50万~100万円になる。
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