HIS、「変なホテル」100軒体制目指す大胆戦略 投資枠は最大2000億円、ホテル事業に本腰

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フロントに人間の代わりにベロキラプトルのロボットが置かれている。チェックインはフロントに置かれたタブレットで行う(記者撮影)

旅行会社大手HISがホテル業強化の姿勢を鮮明にしている。同社は3月15日、千葉県浦安市に「変なホテル舞浜 東京ベイ」(以下東京ベイ)を開業すると発表した。

会見したHISの澤田秀雄会長兼社長は「変なホテルは変化し、進化し続けるポリシーで作られたホテル。新しいビジネスモデルを世界に展開していきたい」と語った。

9種類、140体のロボットを投入

昨年10月、12年ぶりに社長に返り咲いた創業者の澤田秀雄氏(左)と社長から副会長に昇格した平林朗氏(右)(記者撮影)

HISのグループ会社ハウステンボス(長崎県佐世保市)は、2015年7月に「変なホテル」初号棟(以下、初号棟)を開業。受付やクローク、室内清掃にロボットを活用した作りで話題を集めた。今回、東京ベイは2軒目のロボットホテルとなる。

東京ベイにも9種類、140体のロボットを投入。受付にはベロキラプトルのロボットほか、水槽の魚類ロボット、実物大のティラノサウルスの模型などを配置。全客室にもAIを搭載したコンシェルジュロボットを備えている。

東京ディズニーリゾートに近い立地のため、家族客やグループをターゲットにしており1室あたり大人3~4人が泊まれる作りとなっている。客室は100室で公式サイトによれば、1泊2人で1.5万円~4万円という価格設定だ。

格安旅行会社のイメージが強いHIS。だが近年では2010年に経営再建に携ったハウステンボスがグループ全体の利益の半分近くを稼ぐまでに成長。澤田氏はHISの経営をいったん離れ、ハウステンボスの社長に専念していた。

澤田氏は就任直後からハウステンボスの業績を好転させた。さらに現地でロボットを活用したアトラクションや「変なホテル」を開設。最近では宇宙ベンチャーへの出資や野菜工場、新電力への参入などさまざまな事業に手を広げている。

その一方で、絶好調だったHISの業績も最近では伸び悩んでいる。昨年12月に発表した2016年10月期決算は売上高5237億円(前期比2.6%減)、営業利益142億円(同28.5%減)と低迷した。

利益の4割を稼ぐハウステンボスが熊本地震の影響で大幅な減益に。主力の旅行事業も、採算性の高い欧州旅行がテロの影響を受けたうえ、訪日観光客が“爆買い”した際に受け取る手数料が激減したことも痛手になった。

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