韓国の星、サムスングループ「解体」の行き先 司令塔の未来戦略室消え、問われる財閥経営

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では、サムスンの競争力維持に、今回の解体がどのような影響を与えるか。特にグローバル市場において、サムスンブランドの核となっているIT事業と、最近サムスンが野心を燃やしながら推進しているバイオなど新規事業の先行きに、関心が高まっている。グループ会社別の自律経営体制には3つの大きな中心軸、すなわちサムスン電子とサムスン生命、サムスン物産を中心に、各企業の社長団が緊密な関係を保ち、協議・調整していくとの観測が出始めた。ただサムスン側は公式的にはこれを否認している。

この観測通りであれば、IT系のグループ会社はサムスン電子、バイオ事業ではサムスン物産が中心となり、事業の細かな方向性を決めていくことになる。このような形での経営が企業の競争力を弱める可能性もあるかどうかが問題だ。また、こんなシナリオが出てくること自体、グループ会社別の自律経営が現実的ではないという反証にもなる。

バイオなど新規事業で先行き不安も

財界関係者は「サムスンのスピードある市場対応力と適応力は海外でも手本となっている。コントロールタワーが消えると、長所が短所に変わるかもしれない」と心配している。長期的に見てM&Aといった施策にも支障を来すこともありうる。

ハンファ投資証券のイ・サンウォン研究員は、「サムスン重工業やサムスンエンジニアリングが経営難に陥るなど、グループ内の立場が不安定な一部グループ会社は別として、これまでのサムスンは、専門経営者による経営体制をとることによって、競争力がしっかりと維持されてきたのは確か。自律経営になっても、今後も大きな問題はないと思う」と言う。

ハイ投資証券のイ・サンホン研究員も「サムスン電子はシステム的に動く組織。IT事業の持つグローバルな競争力はそのまま維持され、悪影響はさほどないだろう」と見る。ただ、バイオや製薬を担当する証券関係者は「バイオ事業はサムスンの新規事業であるだけに、投資とその目標設定には果敢な決断も必要だ。だが自律経営がどこまで効率的に行えるかは疑問だ。否定的な影響を生じることもある」と打ち明ける。

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