韓国の星、サムスングループ「解体」の行き先 司令塔の未来戦略室消え、問われる財閥経営
未来戦略室の解体は、これと同様な組織を置いて経営している、他の財閥企業にも問題を与えている。韓国10大財閥グループのうち、ハンファの「経営企画室」はグループ全体の方向性を提示し、サムスンの未来戦略室と似た組織として取りあげられる。2015年にサムスンから防衛事業と化学事業など4社を買収したときも、経営企画室が重要な役割を果たしたとされている。
ロッテの「経営革新室」もグループの共同戦略を立案する中心的な役割を果たしている。SKやLG、POSCO、新世界なども、同様な組織を置いている。ただ、SKは専門経営者中心の組織を置き、LGは2003年から持ち株会社体制に移行しているなど、それぞれの差もあり、一律的な判断がしにくい。
ロビー活動は徐々に減少していく
これらグループは、サムスンのように「コントロールタワーを解体せよ」という世論の厳しい声が高まるのではないかと心配しながら、事態の動きを注視している。また、サムスンはほかの企業からベンチマークの対象とされていたため、他企業も今後は自律経営体制の導入を拡大させるのではないかとの見方が一部から出ている。ロビー活動は政経癒着で、それを根絶するため、これまでより大幅に減るだろう。10大グループのある関係者は「まだ決定されたことはない」としながらも、「ロビー活動は徐々に減らしていくのが正しいのではないかという話が注意深く出始めた」と打ち明ける。
企業の支配構造には正解がない。前出した市民団体の経済改革連帯も、「グローバルスタンダードといっても、それにかなう法制度も、現実的な慣行も存在しているわけではない」とする。サムスンはこれまで、サムスン電子とサムスン生命の2社を中心に、それぞれが持ち株会社をつくって企業の支配構造に対する正解を求めようと動いてきた。
とはいえ、李副会長が逮捕され刑事裁判を待っている状況で、持ち株会社を通じた支配構造と経営権の継承という問題を解決するには、当分時間がかかりそうだ。経済改革連帯は「多くのグループ会社の分割と合併を必要とする持ち株会社への転換は、サムスン物産と第一毛織の合併よりもはるかに難しい。そのため、サムスングループと李副会長が社会的信頼を回復する前には、持ち株会社化への動きはしづらい」と見ている。
(韓国『中央日報エコノミスト』2017年3月13日号)
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