「上司を選べない」せいで疲弊する部下たち 耐えるか退職か、それしか道はないのか?

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3年も経過すれば、上司が異動ないしは転勤。部下も同様に異動になる可能性がありますので、仮に「ずっと、この上司の下で働きたい」と願っても変わってしまうものです。ならば、選びたくない上司でも3年我慢すれば別の上司と交代するのですから、次にお気に入りの上司に巡り合うことを期待しながら、日々を過ごせばいい気もしますが、そうもいかないようです。

日々の仕事の報告や判断には上司がかかわります。さらに自分の人事評価をするのは上司。仕事をするうえで上司との関係を無視して行動することは不可能といってもいいのではないでしょうか。そこで、耐えがたい上司ならば、我慢の日々を耐えて忍ぶのではなく、会社を辞めてしまおう……と考える人が増えているように感じます。

上司は部下にとって死活問題となる存在

ちなみに退職理由として最も多いのは家庭の事情といわれますが、それは建前で、本音では職場の人間関係が最上位を占めているようです

そもそも、その人間関係とは誰を指すのか? 筆者がインタビューしていくと、上司と答える人が多数を占めていました。やはり、上司は部下にとって死活問題となる存在なのです。

ちなみに退職の報告・相談相手となるのも上司。なので、本音を隠して「別にやりたいことが見つかりました」などと建前の理由で繕って、退職を了承してもらうことになります。なので、上司を替えたいけどその望みがない、上司を選べなかったことが退職者を増やしていても、会社はなかなか気づけないのです。

こう考えていくと、上司を選べなかったことで活躍できる人材を失っている会社がたくさんあると思いませんか? この人材不足の時代、人材の流失を抑制したいのであれば、部下が上司を選べる仕組みを検討してもいいかもしれません。

たとえば、現状における上司と部下の組み合わせが明らかに「ミスマッチ」と認定できる場合に限り、部下は別の上司を選べる仕組みをつくる。ミスマッチとは部下の業績が著しく下がった、あるいは同僚からミスマッチと評価された……など基準を明らかにする必要はあります。

あるいは人事部が窓口となり、上司を替えたいという要望を受けて、その理由等を鑑みて、対応を個別に考えるという方法もあるかもしれません。

でも、このような部下に手厚い施策は「そんなわがままを聞いていたら、組織は成り立たない」と考える人たちからすれば、「甘い、どんな上司でも耐えるべき」と思うことでしょう。ただ、会社は貴重な人材が流失しないように、以前なら考えられないくらいに部下ファーストな取り組みも考えなければならない時代になりつつあります。会社の成長のためにも上司を選べる取り組みを考えてみてもいいのではないでしょうか。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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