ゴルフ業界が若者の車離れを「注視」するワケ オートバックスとゴルフ用品販社がコラボ店

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昔、筆者が大学生の当時、「車の免許ぐらいは資格として持っていたほうがいい」といわれた。工学部だったので何より車に興味があったし、運転してみたかったので、19歳の時に免許を取った。車もアルバイトでおカネをためて安い中古車を買った。もうすぐ就職を迎える方たちの中でも、就職前に自動車運転免許を取っている方もいるだろう。

ところが同白書によると、東京都の20代の運転免許保有率は1991年74.2%から2011年63.5%と、20年で10ポイント以上も落ち込んでいる。大都市だと電車やバスなど公共交通機関を利用するほうが時間的にも、また車の維持費や駐車場代などを考えると経済的にも良いし、車がなくても困らないのだろう。地方から東京に就職する人も、免許を持たずに来る人が多くなっているということだろうか。

自動車の保有率は、1999年から10年間で単身世帯の20代の場合、55.3%から46.5%へ、30代では63.2%から57.5%へ、それぞれ減少している。2人以上の一般世帯でも世帯主30歳未満で87.5%から81.5%、30代で91.3%から89.4%と目減りした。次の5年のデータはなかったのだが、今もそうした減少傾向は続いているのだろうか。少なくとも「激増」はしていないはずだ。

これは自動車保有率がビジネスに直結する自動車業界として由々しき事態だが、ゴルフ業界の問題でもある。「車離れ」の阻止はゴルフ業界にとっても重要な課題で、特に「若者」を押さえないと将来が見えてこない。

同じ課題を抱える異業種間で連携

ゴルフ用品販売の大手「ゴルフパートナー」と、カー用品販売の大手「オートバックス」が手を組むことが発表された。京都市内の店舗「スーパーオートバックス京都ワウワンダーシティ」内1階に「ゴルフパートナー スーパーオートバックス京都西院店」を2月25日にオープンする。同じ課題を抱えるこの異業種間の連携は、初めての試みだ。

クラブバスを運行するゴルフ場は、正式な数字はわからないが増えているという印象はある。

だが、まだまだゴルフ場への移動手段は車が主体。プレスリリースによると、ゴルフスタイルが車選びに影響することが多く、車中を快適な空間にするためのアイテムも必要になるため、こうしたタッグが生まれたとしている。そういえば、レンタカーの予約サイトを見ていたら「バッグを4つ積める車種」など、ゴルフに利用するための情報もあった。やはり、ゴルフと車とは、まだまだ密接な関係にある。

ゴルフ人口は日本全体の人口減や高齢化などもあって、2030年には600万人、最盛期から半減する可能性が指摘されている。高齢者の「免許返納」などが進みつつある自動車業界も同じ悩みに直面する。今回の連携でどんな反応、反響があるだろうか。ゴルフ業界にとっても、自動車業界にとっても、今後を考えるうえでの指標になるはずだ。

自動車保有率が下がったなかで、車を持つ人、車を持たない人、それぞれのニーズに応えていくことが大事だ。ただ、黙ってみているだけでは、ゴルフ人口は増えないだろう。ゴルフ業界は、若者の車離れという現実を受け止めつつ、ゴルフと車の関係をもう1度考えてみる必要があるのではないか。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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