東京五輪ゴルフ会場、変更案浮上の不可解さ 組織委・森喜朗会長が介入して「蒸し返し」

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費用など「コンパクトさ」を打ち出していたはずの2020年東京五輪。組織委員会の森喜朗会長の発言が波紋を広げている(写真:ロイター/アフロ)

新年早々、2020年東京五輪組織委員会の森喜朗会長の言葉が波紋を呼んでいる。1月4日、ゴルフ競技開催会場に決まっている埼玉の霞ヶ関カンツリークラブ(CC)東コースについて「輸送を計画通りにできるのかどうか。選手の疲労なども考えると、運営側としては心配だ」とアクセス面の懸念を示すとともに、暑さなどにも言及して、他会場への変更の可能性をにおわせたというニュースが流れた。

翌日には事務総長が会場変更について否定したが、またも五輪会場にいちゃもんをつけた形だ。五輪組織委員会のトップとしては軽率な発言だろう。何か変更したい理由があるのか、と勘繰りたくもなる。

招致時の予算を守ることこそ、世界への「約束」では

森会長が五輪会場問題で小池百合子東京都知事とバトルを繰り広げたのは周知のところ。膨らみすぎた費用削減を目的に、小池知事が会場変更を提案した際に、「アスリートファーストでまとめたものをきちっとやってきた。スポーツやオリンピック、今までの約束事をご存じのない方が来てガチャッと壊した」と批判、ことごとく否定した。しかし、五輪経費の負担になると「東京都が主体」というのは、平たく言えば「豪華な五輪にして私がみんなを喜ばせるから、払いはそっちで」と言っているように聞こえたのは私だけだろうか。

税金を使われる都民としては、納得がいかない発言だと思った。元首相なら、国にもっと働きかけるなどして、東京都民に敬意を払うぐらいの度量があると思っていた。何より、年間5億円といわれる組織委員会の事務所費をなんとかしてから「カネの話をしよう」となるのがまっとうな気がする。

そして今度はゴルフ場の問題である。そもそも「約束事」を守るために、他会場の見直し問題は押し切ったのだから、口に出すこと自体がおかしい。もっといえば、五輪に立候補したときの費用が「世界に約束」した費用。選手村のある晴海地区から半径8キロメートル以内に大半の競技会場を集中させることもあって、「コンパクトさ」を認められた。他の立候補都市を上回った点でもあるだろう。森会長の言う「世界への約束事」は、まず招致時の予算を守ることのような気がする。

招致時と実際では費用が膨らんでくるのはやむをえない。物価も変わるし、人件費も変わる。新国立競技場問題のように、工期や費用の問題ですでに招致時のものではなくなっている。だからどんどん膨らんでいいという話ではないだろう。使われる税金を払うのは都民だし、国も負担するから国民全体でもある。

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