かねてよりPTAの強制加入の問題を指摘してきた憲法学者の木村草太さんからは、このような原稿を寄せていただきました。
これまでも、学校がPTAに保護者らの同意を得ることなしに個人情報を提供することは、個人情報保護条例に違反する行為でしたし、個々の保護者のプライバシー権を侵害する不法行為でした。今後、「PTAに個人情報保護法が適用される」ことの意味は、不正に情報提供を受けたり、その情報を利用したりするPTAの行為が法律違反であることが明確になったということです。
では、適法な情報提供・情報利用とはどういうことでしょうか。ごく簡単に言えば、情報の主体である保護者に対して、「○○の情報を教えてください。集めた情報は、△△の目的に必要な限りで利用します」と伝えたうえで、同意を得てから情報提供を受け、また、情報を利用しなければならないということです。
PTAは、本人の同意なしに、保護者の個人情報を集めることはできなくなります(個人情報保護法17条)。たとえば、学校がPTAへの情報提供について保護者の同意を得ていない限り、学校から児童・生徒(およびその保護者)の名簿等を受け取ることは許されません。
また、学校の連絡網等としてクラスメート(およびその保護者)の名前や連絡先を知っていたとしても、それをPTA活動のために利用することは許されません(同法16条1項)。たとえば、PTAに参加する意思を示していない人の家にいきなり電話をかけて、役員やボランティア活動をお願いすることは許されません。
これらの義務に違反した場合には、個人情報保護委員会が違反行為の中止などを命じることができます(同法42条)。それでも止めない場合には刑罰が科されることになります(同法84条)。
PTAの役員の皆さんは、自分たちの身を守る意味でも、一度、個人情報保護法、特に15条から19条を読んでみることをお勧めします。
【参考】個人情報保護法
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