これまでのように、学校が保護者の許可を得ずにPTAに提供した名簿を使うことは「適正な取得」とはいえません(17条1項)。名簿を自分たちで作る=「入会届」を配って、個人情報を集めるのがよいでしょう。
では、具体的にどんなふうに個人情報を集めればいいのかというと、難しいことはありません。「入会届」を配る際に、以下の2点に従えばいいのです(参考「会員名簿を作るときの注意事項」)。
→ 「PTA会員名簿を作成し、名簿に掲載される会員に対して配布するため」と、利用目的を特定する
→ 個人情報を集める際に配布する用紙(PTA入会申込書、あるいは一緒に配布する説明の紙)に、1で特定した利用目的を記載する
やるべきことは、以上です。
要は、保護者に個人情報を集める理由(目的)を伝え、同意を取ったうえで情報を集め、その情報を使えばいいのです。
ご参考までに、筆者が作成した入会届けのサンプルを、こちらに掲載します。
「個人情報の提供」と「入会」はまったく別の話
なお、もし「名簿をつくること」だけが目的ならば、「学校が保護者から個人情報を集める際に、あらかじめPTAに提供することの同意を得て、そのうえでPTAに提供する」という方法も考えられます。
これなら受け取るPTAの側も“不正な取得”にはあたらず、個人情報保護法上の問題はクリアできます。
しかし、「PTAに個人情報を提供する」ということと、「PTAに入会する」というのは、本来まったく別の話です。入会意思を確認しないまま、「個人情報の提供への同意=入会」とみなすのは無理があります。
たとえば、見学に行った塾で、保護者が名前と連絡先を書いてきたとします。それでもし、「あなたは会員ですから、月謝を払ってください」と言われたらどうでしょうか? 当然、とんでもないと思うでしょう。
また、学校が配る手紙に「PTAへの情報提供」のことが書かれていたら、「PTA=学校の一部(必ず同意しなければいけない)」と誤解する人が今よりもさらに増えかねません。誤解に基づいたまま同意を得るのは問題があり、契約無効となる可能性もあります。
ですから、もしこれをやるのであれば、PTAは学校とは別の団体であることがはっきりわかるようにすること(情報提供の同意書は、単体の紙で配ること)や、PTAへの入会意思は別途あらためて確認することが必要でしょう。
となれば、最初から「入会届」を配るほうが、簡単かと思います。
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