「医師は冷淡だ」と感じるのには理由がある

患者は感情をどこにぶつければいいのか?

無表情で淡々と接する医師に、不安を覚える患者さんは少なくありません。ただ、決して医師の人間性が冷酷であるからそうしているのではないのです(写真:xiangtao / PIXTA)

「医師がコンピュータの画面ばかりを見ていて、私のほうをちっとも向いてくれない」。診療録の電子化が進んでから、こんな不満が患者さんからしばしば聞かされます。

この連載の記事はこちら

次に聞かされることが多い不満は、医療者に人間としての温かみを感じることができない、冷たさを感じるという不満です。大学病院や大規模な総合病院などで診療する医師は、無表情に淡々と話すことが多いので、機械のように冷たく感じられるというのです。ただ、これは医療者が「患者さんの前で感情を出さないほうがよい」という教育を受けている結果でもあります。たとえば、患者さんが亡くなったとしても、「その家族の前などで涙など見せてはいけない」と教えられ、それが大事だと信じている医療者も多いのです。

医療者の仕事には「感情を抑制する」ことが要求される

医療者には、「感情労働」が要求されます。感情労働といっても、自身の感情を表現するのではなく、むしろ抑制し、押さえ込むことが課せられているのです。しかし、このことが現代医療を冷たくし、歪めている一因かもしれません。今回は、医療の現場と感情について考えてみます。

次ページ感情を抑制することが仕事だ
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • グローバルアイ
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 賃金・生涯給料ランキング
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
トレンドライブラリーAD
人気の動画
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
イオン「フジ実質買収」で岡田会長が語った未来図
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
採用担当者が嘆く「印象の悪い就活生」の共通点
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマト独走に待った!佐川・日本郵便連合の勝算
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
ヤマダ、社長離脱でにわかに再燃する「後継問題」
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
私大トップ校の次の戦略<br>早慶上理・MARCH・関関同立

受験生確保や偏差値で高い水準を誇る関東・関西のトップ私大13校。少子化や世界との競争といった課題に立ち向かうための「次の一手」とは。大きく揺れる受験動向や、偏差値や志願倍率と比べて就職のパフォーマンスが高い大学・学部なども検証します。

東洋経済education×ICT