トランプ対メディア「仁義なき戦い」の行方 就任早々壮絶なバトルが始まった
なぜトランプ政権がスパイサーに「すぐ分かる嘘」を言わせたのかと問いただした司会者に対し、コンウェイはあからさまな脅しで対応した。「もしそういう種類の言葉で、わが政権の報道官のことを話題にし続けるなら、ここで互いの関係について見直したほうがいいと考えることになる」。
コンウェイが言い逃れをする場面の動画はあっという間にソーシャルメディアで広がった。ツイッターの広報担当者によれば、「alternative facts」という語句や「#alternative facts」というハッシュタグが使われた投稿は、22日午後の中ごろまでに38万を超えたという。
同じころ、ホワイトハウス記者団に対してスパイサーの記者会見をボイコットせよとの声も一部で上がった。もっともそうした過激な対応は非現実的といえそうだ。
ネットメディア「バズフィード」のベン・スミス編集長は同日、報道官の会見は「必要不可欠とは言わないまでも有用な伝統」だと述べ、バズフィードは今後も記者を出席させると表明した。またスミスは、トランプ政権は今後「正直であるべき実利的な理由を見つける」だろうとも述べた。
「特に、自分たちが政治ショーではなく真の危機の真っただ中にあることに気づけば、今失いつつある信用を取り戻す必要に駆られるだろう」とスミスは電子メールで述べた。
報道官は記者にも仕えるべき?
ホワイトハウス記者協会のメーソン会長は、記者団と報道官の間の建設的な関係の維持を目指していると語る。
「どのようにスタートを切りたいか決めるのは、彼(スパイサー)と大統領だ」とメーソンは言う。「そして彼らはこう決断したわけだ」。
記者や評論家の一部からは、政権と報道機関の対立は今に始まった話ではないとの指摘も出ている。
辛辣なメディア批評で知られるジャック・シェーファーはツイッターで「報道陣は罵倒され、おとしめられ、中傷され、侮辱されるものだ。それも仕事のうちだ」。
「もしショーン(・スパイサー)が怒った口調でやりたいというなら、正直なところ私は気にしない」とスウィートはCNNに語った。「発散したいならすればいい」。
スウィートはこうも述べた。「私にとって大事なのは、彼が言うのが真実かどうか、事実を言っているかどうかだ」。
ジョージ・W・ブッシュ元大統領の報道官だったアリ・フライシャーは22日のインタビューで、前日のスパイサーの発言は記者会見における情報操作の最たるものだと指摘した。
だが記者団と真っ向から対立しようとするスパイサーの「熱意とやる気」は、過去の政権との違いを象徴しているとフライシャーは言う。「報道に対して(内輪で)ぼやくのは普通だが、(記者会見では)大抵は口を慎むものだ」。