客の4割が男性、超人気「和製チョコ」の正体

カカオ80%以上でも苦くない

ブランディングターゲットとしては“感度の高い”30~40代男性を設定。店舗のインテリアやチョコレートのパッケージを見ても、シンプルこのうえない。チョコレートという言葉から想起される、甘いリッチなイメージとは正反対だ。そして、そのシンプルさこそが、同店のチョコレート作りそのものを表現している。

「これまでのチョコレートと言えば、カカオ豆という素材に、バターやミルク、香料など、さまざまなものを足しておいしさを作ってきました。当店では逆に、“引き算”の発想で、カカオ豆そのものの味わいを追求しています」(山下氏)

ミニマルのチョコレートはカカオ豆とビート由来の砂糖だけから作られている(写真:ミニマル)

その言葉どおり、同店のチョコレートはカカオ豆とビート由来の砂糖だけから作られている。にもかかわらず、十数種類に及ぶさまざまな味を作りだしている。試食してみると、ザクザクとナッツのようなかみ応えや風味があるもの、ベリーのような香り、ミントのような清涼感があるものなど、実にバラエティに富んでいる。これはすべて、産地ごとに異なる豆の個性に由来するのだそうだ。豆に合わせて、ロースト度合い、ひき方、砂糖の配合などを変えているため、このようにさまざまな味わいが生まれてくる。

味わいの秘密のひとつは、カカオ豆の粒子の大きさにある。一般的な板チョコでは、豆をローストした後、「磨砕(まさい)」という過程を経て20マイクロメートル程度に砕く。しかし同店では「粒子の大きさに、香りや味わいが込められている」という理屈の基、その約2~10倍の大きさに磨砕する。だからこそ、豆本来の香り、味わいが感じられる。

「発酵」は豆の味わいに大きく影響する

現地でのカカオ豆の乾燥過程(写真:ミニマル)

また同店ならではと言えるのが、豆の発酵・乾燥過程へのこだわりだ。山下氏をはじめ、スタッフが年に延べ3~4カ月、カカオ豆の産地まで出向いて、生産者への指導を行っているという。

「発酵食品の歴史が長く、研究も進んでいる日本だからこそ、できることがあると思っています。農業大学の専門家に協力してもらいながら、科学的な論拠の基、豆に最適な発酵を追求しています。生産者の方にも、温度や日数の記録から始まる管理方法をきちんと教えます。しかも、What、Howの部分だけでなく、“なぜ発酵が大事なのか”というWhyから説明するので、彼らも意欲を持って取り組んでくれます」(山下氏)

山下氏によると、発酵過程は豆の味わいに大きくかかわるそうだ。発酵によって酸味やうま味などの素が生成されるためだ。また発酵が十分でないと、えぐみが残される。そしてミニマルでは十分に発酵させた豆本来のおいしさを生かすために、低温と高温を併用する独自レシピで豆をローストする。一般のチョコレートでは150度なのに対し、同店では110~120度から始めて、時間と温度帯をコントロールし、段階的に上げて行くことで香りを開かせる。

「一般のメーカーから販売されている、カカオの配合率が80%以上のチョコレートを食べると、えぐみと苦みを感じると思います。カカオ率が高まった分、豆の持つえぐみ、焦げによる苦みが強く感じられるわけです」(山下氏)

次ページ一方、ミニマルのチョコレートは……
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