再稼働前に「核のゴミ」の上限を決めよ 自民“脱原発"の旗手、河野太郎氏に聞く

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――使用済み燃料の総量の上限はどう決めるべきか。

そこは国民合意による。天然ガスや再生可能エネルギーをどこまで増やせるか、あとは需給調整でデマンドマネジメントがうまくできれば、需要を標準化して、ピーク電力量を減らせる。今の電力供給体制では需要管理がなかなかできないので、自由化、地域独占の廃止をもっと早く前倒しでやるべきだ。

東電には原発を動かす資格はない

――基本的には長期的に少しずつ脱原発を目指すという考えか。

そうだ。民主党は2030年代に原発ゼロの一方で再処理は続けると言ったが、考慮の対象にならない。どこかで目標を決めて、省エネとデマンドマネジメントをしっかりやり、再生可能エネルギーを増やして、それでも足りない部分は天然ガスで補っていくといった絵を描くべきだと思う。

新増設はしない。現存の原発でもたとえば、日本原電の敦賀1号のような老朽原発や敦賀2号のような活断層の上にある原発、福島第一と同じマークⅠ型のもの、さらには東京電力には動かす資格はないだろうから、そういうものは廃炉にして、残ったものの中で安全性と必要性の高いものから再稼働をさせる。どこまで動かすかは国民合意で決めたゴミの総量で管理する。その間に原発依存をしなくて済む方策を考えるべきだ。

今後、シェールガスが輸入される。また、北方領土問題を解決して、ロシアのシベリア、サハリンからパイプラインを通じて輸入するなど、天然ガスの供給先を多様化する。そうすればコストダウンにもつながる。

需要サイドでも米国のようにいろいろなビジネスを生み、成長戦略として考える。おそらく携帯電話並みにいろいろな新規ビジネスが立ち上がるのではないか。だからこそ自由化は前倒しすべきだ。

――安倍政権は原発輸出を推進しているが。

これは国ではなく企業が輸出するわけで、本当に能力があるかは正直わからない。一つ間違えれば、シーメンスのようにアレバと組んでフィンランドで原発を造ったが、失敗して原発事業から撤退するという羽目にもなりかねない。原子力協定が結ばれたからといって、すぐにビジネスにつながるわけではない。

東電は法的整理し、株主や金融機関の責任を追及すべき

――東京電力の再生のあり方は。

東電の最前線の人たちは福島での廃炉作業にしろ、送電線の作業にしろ、非常に頑張っていると思う。このままいくと、電力が自由化されて、地域独占もなくなり、新規参入もしやすくなる。

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