トランプ就任前の「態度」は大混乱の前触れか

当選直後から「大統領気取り」だった

政権移行で最も変わるのは、ロシアのプーチン大統領に対する姿勢だろう。トランプ氏は過去数年間冷え込んでいた米ロ関係について、新たなアプローチを模索すると表明している。

大手メディアは、対ロ柔軟姿勢の裏に何があるかを探っている。2017年1月、ロシアの諜報機関がトランプ氏の事業や個人的な行いに関する不適切な情報を握っているなどとの報道が出て騒ぎとなった。

「ロシアのウクライナ支配を容認するのでは」「バルト3国にロシアが侵攻した場合にどう対処するのか」。トランプ氏の対ロ政策には懸念が消えない。最大の懸念は、プーチン大統領がトランプ氏を手玉に取っている可能性である。

実際にトランプ氏はプーチン大統領を利する行動をしている。その一例が、米国の諜報機関がロシアの米大統領選への干渉を指摘した際、トランプ氏が否定したことだ。

選挙後の米諜報機関の公表によると、ロシア側はヒラリー・クリントン陣営の選挙戦に打撃を与える目的で、民主党全国委員会のメールアカウントのハッキングなどを行っていた。

一時は諜報機関とも敵対

ロシアがトランプ氏を手助けしたとの観測は、トランプ氏には耐えられなかったのだろう。同氏は、当選が無効とする指摘に激怒し、米CIA(中央情報局)や米FBI(連邦捜査局)、国家情報長官室に対する攻撃を強めた。

議員の多くは党派を超え、国のために必死に働いている公的な諜報機関の全てをトランプ氏が排撃するのは不当なだけでなく、今後のことを考えると賢明ではないと主張した。

トランプ氏にとって不都合な事態は重なった。クラッパー国家情報長官が2016年12月の上院での公聴会で、米大統領選に影響を与えようとしたロシア側の諜報活動を、プーチン大統領自身が指示していたなどと証言し、超党派の承認を得たのだ。

トランプ氏はついに、米大統領選でロシアが果たした役割に関する説明を諜報機関から受けることに同意した。説明を受けた後、同氏は諜報機関に対する「多大なる敬意」を示す一方、米国のサイバーインフラ攻撃を継続的に試みているのはロシアだけでなく中国もだと語り、ロシア側の干渉は大統領選に「まったく影響しなかった」と主張した。

トランプ氏が時間帯を問わずツイートする習慣は、共和党員も含めたワシントンの人々をピリピリさせている。憂慮されていた政情の混乱が現実になろうとしている。

週刊東洋経済1月28日号

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