幸之助は「政治家の条件」をどう考えていたか

経営の神様が語ったこれからの政治家像

そこで、これではいかんと。これでは国民一人ひとりの汗と涙がムダになると。自分の仕事だけをやっておればいいということではあかん。商売は商売、政治は政治というように考えておってはいかんと思ったんや。これからは「右手にそろばん、左手に政治」というようでなければならん。そういう考え方は敗戦で、はっきりとわかったな。

それから政治に強い関心をもって見てきたんやけど、まあ、頼りないわね、我が国の政治は。

経営の観点からすれば、どうにも理解できない考えや動きをする。なにが正しいかも考えん。なにが国民の喜びにつながるのか考えん。国家国民のことを考えるより、自分の選挙や名誉や立場にとらわれる。金に執着する。だから金で政治が動いたりする。

こんなことを、もし経営でしておったら、一時的にはともかく、少し長い目で見れば、すぐに会社はダメになる。倒産する。けど、国は倒産せえへん。親方日の丸やから、そういうことを政治家も官僚も平気でしておる。国民の税金をムダにしてもなんとも思わん。

まあ、そういう政治家や官僚の人たちばかりではないかもしれんが、これでは日本はますます心配やな。21世紀の日本をどうすべきか。世界にどうかかわり貢献していくか。その政治哲学はなにか。人間をどう考えとらえるべきか。そういう考えを、きちんと確立し、その考えに基づいて力強く活動をする政治家が非常に少ないな。国家国民の前に自分があるということでは、政治家としてこれは失格や。

素直な心をもった政治家になってほしい

それで、なんとかせんといかん、わしなりになんとかしたいと思いあまって、まあ、好ましい政治家を養成しようと、松下政経塾をつくったんやけどな。あれは十数年考え続けたな。

政経塾の塾生たちには、自分の名誉や虚栄を求める政治家、選挙ばかりを考える政治家にはなってもらいたくない。人間は誰でも偉大な存在、国民一人ひとりは本質的にダイヤモンドを持っている存在という人間観をしっかり身につけて、わが身はどうなろうと、本当に国家国民を第一に、世界人類の平和と幸福と繁栄を心から考える、一片の私心もない、とらわれや偏りのない素直な心をもった政治家になってほしいと願っておるんやけどな。

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