青学・原監督の「コミュ力」は何がスゴいのか

体育会系特有の服従文化を徹底的に打破

選手たちの自主性を最大限に尊重し、モノ言える風土を作ることに腐心してきた原監督のコミュ力に対するこだわりは随所に垣間見える。「人材を見極めるとき、自分の言葉を持っているかどうかを重視する」、「監督の言うことに何でも『ハイッ!』 と答える生徒には全然魅力を感じない」「チャラいと呼ばれるのは、表現力が豊かということであり、最高の褒め言葉」「体育会系にありがちな『ちわっす』ではだめ」などユニークな哲学を持っている。

スポーツ界では、半ば神がかり的な抽象的言葉による指導も多い。その代表が長嶋茂雄さんだろう。シャーッときてググッと、スッと来るからウンッと、バアッときてガーンと、などといったオノマトペ(擬声語)の宝石箱だ。これはこれで、指導を受ける方が宇宙的な「気」を受けるようなものだったのかもしれないが、他にも何とも言語不明瞭な指導者は少なくない。

日本の経営者にもよくいるが、自分目線の言葉でしか語れないので、相手の「腑に落ちる」ことがない。その点、原監督の言葉への執念は相当なものだ。つねに、選手たちのやる気スイッチを押すために、「陸上用語を使って指導するのではなく、選手が興味を抱く話題に置きかえて説明する」。アニメやひな壇芸人など部員に身近なネタを探し、ネタ帳に書き留めてストックしておく。「徹底的な相手目線」。これはコミュ強者の第一条件である。

前例主義なんてブチ壊せ!

筆者が原監督の哲学の中で特に共感するのは、日本にはびこる「前例主義」への抵抗だ。「前例がない」というのは考える事、工夫することを放棄した人が使う言葉である、と言い切る。

「世の中にある業界や業種にはその中だけで通じる常識があり、時に非常識と思えるものや時代遅れになっている。同じ場所に長くいると、時代の変化に気づかないだけでなく、気づこうとさえしなくなる」と警鐘を鳴らし、「業界の常識を疑うこと」の重要性を訴える。

筆者も日々、さまざまな企業のリーダー層と接していると、自分のコミュニケーションに問題がある、と感じている人がそれほど多くはないことに驚かされる。強いチームを作るためにもリーダーこそがコミュ力の鍛錬に日夜励むべきなのに、「これまでこうやってきたので」という「前例主義」にとらわれている。

「進化しないことはまさに退化」。2017年、「昨日の自分を飛び越えるコミュニケーション」への皆さんの挑戦を少しでもお手伝いが出来れば幸いです。今年もよろしくお願いいたします!

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