正月の箱根駅伝まで残り約6週間となった。10月10日に出雲駅伝、11月6日に全日本大学駅伝が終わり、本番まで注目を集めるようなレースはない。しかし、箱根を目指す者たちにとっては、ここからが「ラストスパート」となる。出走を目指す選手、チームを率いる監督。今回は2つの視点で、箱根までの道のりを紹介したい。
選手が箱根駅伝を走るまでの「2つの関門」
まずは選手から。箱根駅伝を走るためには、本番までに“2つの関門”をクリアしないといけない。最初は選手登録ができる一大学「16名」の枠に入ることだ。16名の選手エントリーは毎年12月10日に行われるが、ここで外れると、その後にどんなに調子を上げても本番を走ることはできない。メンバー入りが微妙な選手たちにとって12月10日は「運命の日」といえる。
かつて筆者も箱根駅伝を走り、その後15年以上取材をしてきたが、チームのなかで速い順に16番目までの選手を選ぶかというと、実際は少し違う。箱根駅伝には「山」があることもあり、キャラの違う選手を組み合わせて選出されるのだ。
たとえば20kmの走力ではチームで20番前後でも、下りを走らせたらチームで2番目に速いという“特技”を持つ選手だと、6区候補としてエントリーに入りやすい、といった具合だ。
16名の登録選手は夏合宿の消化具合なども考慮されるが、最も重要視されるのはエントリー直前の状態だ。エース級の主力選手は出場を回避することもあるが、大半の選手は、11月中旬から12月上旬の“選考レース”を走ることになる。
今年でいうと、11月13日の世田谷246ハーフマラソン、11月16日の上尾ハーフマラソン、11月26日の1万m記録挑戦競技会、12月3日の日本体育大学長距離競技会1万mなどが該当する(出場するレースは大学によって違う)。ただの記録会ではなく、選手たちにとっては天国と地獄を隔てるようなレースになる。
それから「山」、つまり箱根駅伝における「上り」候補の選手たちは、これらのレースには出場せず、本番コースを想定したチーム独自のトライアルで適性を確認することが多い。選手エントリーの日が近づくにつれて、自然と日々の練習もピリピリした雰囲気になっていく。
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