筆者が「どんな人材に来てもらいたいと考えているか」と訪ねた際、堀田直人社長は、おとなしい従業員が多いとしたうえで、今後は「出る杭になるような元気な人材」に積極的に入ってほしい、と語っていた。
2016年の社内報においても、堀田社長は「弾む心」をキーワードとして挙げている。地味でおとなしい社風の企業が、今後どのような展開を行うか注目だ。
接着剤で圧倒的シェアを誇るコニシ
図工などの工作で木材を貼り付けるときに使う木工用接着剤「ボンド」。黄色いボンドの容器は誰もが知っているだろう。しかし、それを作っているメーカーの名前を言える就活生は少ないのではないか?
ボンドを作っているのが、東証1部のコニシである。富士総研によると、2013年の粘・接着剤の国内市場は2660億円。この市場でNo.1のメーカーだ。特に住関連用接着剤を得意としており、床用の接着剤では60%を超える圧倒的なシェアを持っている(市場規模約60億円のうち、コニシの売上高は約40億円)。
コニシは1870年に製薬の製造販売を行う「小西屋」として創業、1912年から商社業務を本格的に開始した。商社として、多くの取引先や利用者のニーズに細かく対応してきたことから、住宅用や産業用、土木用などのさまざまな用途で、幅広い製品のラインナップを有している。この幅広い供給力は他社の追随を許さず、接着剤の総合トップメーカーの地位を支えている。
コア事業である住関連用接着剤事業、化学品商社事業、そして、接着技術を応用した高速道路や学校、病院施設などの補修を行う土木建設工事事業を展開している。2016年3月期の連結売上高は1188億円、本業の収益をあらわす営業利益は63億円だ。
2012年に社長となった横田隆氏のもと、自前での物流センターを設置するとともに、工場の製造能力を高める設備投資を行い、主力3事業を強化している。その結果、横田社長就任後の4年間で、連結売上高は15%増加(2012年3月期の1002億円から2016年3月期の1188億円へ)、営業利益は33%増加している(同47.7億円から同63.7億円)。
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