三木谷社長が入魂する「楽天モバイル」の実力 スーパーポイント大作戦は使えるのか

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楽天は2014年10月にMVNO事業を「楽天モバイル」へとリニューアル。代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏は、1000万会員の獲得を目標にすると打ち出した(写真:著者提供)

これまで、格安スマホの基本デメリットについて解説してきた。今回からは、代表的な格安スマホのサービスにどのような特徴や強みがあるのか、その実力を検証してみたい。

激しい競争が繰り広げられている中、最近頭角を現しているのが楽天の「楽天モバイル」だ。楽天は2012年より、傘下のフュージョン・コミュニケーションズ(現・楽天コミュニケーションズ)で、ISP事業(ネット接続サービス)の一環として、データ通信を主体としたモバイル通信サービス「楽天ブロードバンドLTE」(ドコモ回線を利用)を提供していた。

そこから大きく方向転換し、2014年10月にはスマートフォン向けを主体としたモバイル通信サービス「楽天モバイル」がスタート。三木谷浩史社長は「会員数1000万人を目標にする」とぶち上げた。その後、楽天モバイルの事業は楽天本体へと移管された。同社がカンパニー制に移行してからは「通信&エナジーカンパニー」が管轄し、現在では同社が注力する事業の1つとなっている。

いち早く通話定額を実現!

楽天モバイルがほかのMVNOと大きく異なっていたのは、最初からスマホの「メイン回線」としての利用を狙ったことだ。それを象徴しているのが、今年1月に発表した「5分かけ放題」である。

MVNOは回線を借りる携帯会社との契約上の問題もあり、データ通信の料金やサービスの差異化はしやすいが、音声通話に関しては料金が一律30秒20円での提供となるため、音声サービスに力を入れるMVNOはほとんど存在しなかった。そのため、MVNOの主要顧客はかつて「ITに詳しく、データ通信を積極的に利用する30~40代の男性」が大半を占めていた。

しかしながら楽天モバイルは、あえて通話にメスを入れることで、これまで獲得できていなかったユーザーの確保に乗り出した。楽天コミュニケーションズが2013年より提供していた(11月28日より楽天が提供)、プレフィックス番号を付与して電話をかける(相手の電話番号の前に特定の番号を付け足してから発信する)ことで、通話料を半額の30秒10円にできる「楽天でんわ」を、今年1月に拡充。月額850円で5分間の定額通話が可能になる「5分かけ放題」のオプションサービスを提供開始したのだ。

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