(第13回)2009年新卒採用総括セミナーレポート(前編)

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(第13回)2009年新卒採用総括セミナーレポート(前編)

採用プロドットコム株式会社
 今回と次回の「採用マルハダカ」は、去る5月29日と6月9日の二度にわたり、採用プロドットコム株式会社が開催した「2009年度新卒採用戦線総括セミナー」(協賛/東洋経済新報社)の内容の「抜粋版」をお届けする。
 総括セミナーには、約250社、300人を超える企業の採用担当者が参加。バブル期以来の売り手市場となった2009年度の採用戦線を振り返りながら、参加した採用担当者は2010年度の採用戦略のポイントに熱心に耳を傾けた。
セミナー第一部(講演より要点を抜粋)
「2009年度新卒採用戦線を振り返る」~2010年度採用戦線をズバリ予測~
採用プロドットコム株式会社 企画制作部シニアディレクター 八木政司
「新卒採用戦略は、組織で共有されたコミュニケーション総量が鍵を握る」

●2009年度の採用要件、環境の認識

 採用プロドットコム株式会社が東洋経済新報社と行った共同調査で全国の上場・未上場709社から得た回答では、「採用人数を昨年より増やす」との回答が「昨年並み」「昨年より減らす」を上回ったのは、技術系の採用数のみとなり、事務系の採用数は高止まりの傾向がうかがえる結果であった。
 大手電機メーカーなどによる技術系の大型採用の発表が相次いだ影響が大きいのか、採用環境については40%の企業が「昨年よりも厳しい」という認識を抱いていることがわかった。
 一方、厳しい採用環境を認識しつつも、各社が懸念するのが「二極化」が顕著な人材の質。調査では「昨年より優秀な学生が減っている」と回答した企業は20%。「昨年より優秀な学生が増えている」と回答した企業(10%)の2倍に達した。低下する母集団の質に対する採用の危機管理なのだろう、学生を判断する採用基準については、「昨年より上げる」と回答した企業が20%みられたことに対し、「下げる」と回答した企業はわずか2%にすぎなかった。

●企業が重視している採用メディア、ツールは手段と目的が分断されている

 相対的な学生の質の低下を認識しながらも、選考基準を下げていない企業にとって、採用プロセス(プレエントリー→各種セミナー→面接)ごとの各母集団形成の出来は企業の採用活動の成否を左右するポイントになる。
 早期化・長期化する採用活動では、このプロセスの流れを分断せずに巧みにストーリー化(次のステップへ進む志望度形成)できた企業が優位に活動を進めることができる。
 そこで、企業に「採用活動において重視したツールやメディア」を尋ねたところ、最も重視したアイテムは「就職ナビ」、次いで「個別セミナー」、「合同セミナー」の順となった。
 しかし、「就職ナビ」からのリンク先である「自社の採用ホームページ」を重視する企業は少なく、リアルな接触機会において学生の志望動機形成に影響力を発揮してほしい「社員・リクルーター」を重視する企業も少なかった。
 下記の表に矢印で示したとおり、採用活動のプロセスで重視するアイテムが分断されている印象を受けるのだが、問題はなかったのだろうか。

(企業が採用活動で重視したツール)
(学生が就職活動中に主に参考にしたメディア、ツール)
 その疑問を確かめるために、学生に対して「就職活動中に主に参考にしたメディア、ツール」について尋ね、企業のアクションと学生のニーズの比較を行ったところ、「採用ホームページ」と「社員・リクルーター」については、明らかにその重視度にギャップが見られる結果となった。このことから企業は採用活動において社員・リクルーターの活用にもっと熱心に取り組むべきという分析結果が得られる。
 また、みんなの就職活動日記に代表される「ネットでの学生同士の情報交換」や「新聞・テレビ・雑誌などの一般メディア」の情報についても学生は高い関心を寄せていることがわかった。しかし、ほとんどの企業がこういったメディアの活用に気を遣っていない。この点も企業は再検討すべきであろう。

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