DeNAリライトマニュアルの巧妙すぎる手法 「パクリ」でも違法と言い切れない理由は?

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今回は、ユーザーの命や健康にかかわる医療情報について、正確性に疑問のある情報で同様の手法を用いたことが、レピュテーションリスクの爆発につながったが、これまではファッション、グルメ、旅行など比較的ライトなテーマを扱うメディアが多く、大きな問題として指摘されてこなかった。名もなき新興のベンチャー企業であればともかく、野球球団まで持つ一部上場企業であるDeNAが、こうしたグレーで倫理的に問題がある領域に足を踏み入れていたという事実は、驚く人も多いかもしれない。

DeNA広報部は、「キュレーションメディアプラットフォームである『DeNAパレット』事業については、社内でも別の扱いとなって、一線が画されていた面がある。既存のスタートアップを買収した初めての例だったからだ」と説明する。守安社長も、7日の会見の中で「スピードとか、新しいことにチャレンジする、そういうスタートアップの良さをなるべく温存しながら、事業を成長させていきたかった」とコメントしていた。

オリジナルコンテンツを作るメディアが生き残る?

「DeNAのマニュアルを前提とする限り、違法ではないが不当な記事作成手法であり、社会的に非難を受けるのもやむを得ない。DeNAと同様のやり方をしていた他のネットメディアも含め、根本的な記事作成方針を見直さなければ、ネット記事に対する信頼は堕ちていくばかりだ。コピーコンテンツに対する世間の目は厳しくなった。今後はオリジナルコンテンツを真面目に作成するメディアだけが生き残れる時代になるのではないか」(杉浦弁護士)

今回の件で衝撃的なのは、ウェブメディアのコンテンツ非公開化や削除の動きが、 DeNAのみならず、他のベンチャーや大手企業にも広がりを見せていること。DeNAだけの問題かといえばそうではなく、「明確に違法でなければ進めてしまう」という姿勢が、業界に蔓延していた。問題は非常に根深いのである。

イノベーションを起こすためには、既存の法規制の中でギリギリまで攻める必要がある場合はもちろん出てくる。しかし、それはユーザーにとっての利益が、明らかに大きい場合でなければ説得力を欠く。SEOを用いたメディア事業は、果たしてそのようなものだったのか。ビジネスモデルのあり方自体が、問われることになるだろう。

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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