――現場が、マニュアルや記事作成方法のリーガルリスクについて、法務部に相談した事実はあるか。
マニュアルには多数のバージョンがあった。このすべてのバージョンについて法務部の確認が通っていたかというと、そうではないということはわかっている。そういう意味では、あった部分もあれば、なかった部分もあるというのが実状。
――確認があった部分については、法務部としては「OKである」という結論だったということか。
法務部としてリーガルな面についてはきちんと確認したものであることは確か。どの部分まで確認できていて、どの部分まで確認できていないかというところは、きちんと今後見ていかなければならない。
――WELQのマニュアルについては確認していなかった?
少なくとも報道であった(リライトを指南した)部分については、確認できていなかった。
――現場からの相談がなくても、法務部はサービスについて見ていくことも十分できると思うが、それは法務部側がチェックを怠っていたということか?
会社全体のあり方を今回深く振り返るというなかで、きちんと考えていきたい。
SEOを活用したメディアの「逃げ切り方」
法律的に違法であるか微妙であっても、人間が抱く「感情」はまったく別だ。もとのコンテンツの作成者が「剽窃された」と感じられる範囲は、広いものである。他人のアイデアを参考にして、コンテンツを新しく作ることそれ自体は否定されるものではない。しかし、その場合は法に触れないことだけでなく、自身が作成したものに対して思い入れを持っている人へのリスペクトが必要だっただろう。これはあくまで倫理的な問題になるが、今回のWELQの事業のあり方には、「違法かどうか、明確でないならOK」という姿勢が透けて見え、配慮は感じられない。
昨今のSEOを活用したウェブメディア事業には、決まった勝ちパターンがあるようだ。まず、ネット上に存在するコンテンツをリライトした記事を大量に生産し、一定のPVを確保する。そして、世間の認知を獲得した後は、コストをかけたオリジナル記事を作ったり、既存のリライト記事に微修正を加えて編集していくなどして、メディアとしてのクオリティを上げて逃げ切ってしまう、という戦略だ。
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