古賀医師お勧めの発散法は、寝る前の15分や30分の短時間でも、頭から仕事のことを切り離す時間を作ることだ。
たとえば、駅から自宅まで帰宅する道を、少し息が切れるくらいの速度で早歩きしてみる。あるいは、帰宅後に目玉焼きなど簡単な料理をひと品作るのも手軽でいい。さらに、部屋の中でアロマを炊くのも、おカネをかけずにできる気分転換法だ。
ただし、「ベッドでスマホを見ることはお勧めしない」と古賀医師は言う。入眠前に強い光を浴びると、睡眠リズムが乱れ、ストレスによる睡眠リズムの乱れを後押しするからだ。友人との会話は、「LINE」などのチャットアプリではなく、直接電話で会話することを心掛けるとよい。
夜寝る前はNGのスマホだが、朝起きたときにスマホの光を浴びると、逆に睡眠リズムを整えやすくなる。脳内のメラトニンという物質は、早朝に光を浴びることで夜寝るときに分泌量が増えて「眠り」に導いてくれるからだ。
「こういう人なのだ」と一歩引くことも大事
自宅でのストレス解消もさることながら、職場でのストレス軽減策も必要だろう。ストレスの最大の原因とも言うべきは、何と言っても人間関係。「平成26年版厚生労働白書」によると、「仕事や職業生活に関する不安・悩み・ストレスの内容」に対する回答として「職場の人間関係の問題」を挙げるものが最も多かった。
職場での人間関係でストレスを感じるケースとしては、「相性が合わない」「理不尽な態度を取られる」「すぐ感情的に怒鳴られる」などさまざまだが、たとえば、「人前でミスを大声で指摘し、怒りを爆発させる人」にストレスを感じている場合を想定して、ストレス軽減策を考えてみよう。これに反発すれば、不快感を抱いた相手に、その後ことあるごとに攻撃されてしまう。かといって、素直に謝れば、相手は調子に乗ってさらに暴言を吐くことがあるかもしれない。この対処法について、古賀医師は次のようにアドバイスする。
「情緒的な言動をする人は、その言動によってうまくいったという過去の成功体験に基づいていることが多いと言えます。反発しても、謝っても、相手の態度は変わらないので、ご自身がストレスをためるだけです。その場合は、『こういう人なのだ』との認識を持ち、一歩引いた目で見ることがストレス軽減に役立ちます。もちろん、相手の態度がひどすぎる場合には、職場の別の人に相談することも1つの方法です」
会社のため、上司のため、昇進のため――そう考えるあまりストレスをため込みすぎてうつにならないよう、日頃からの息抜きとストレス源への対処は欠かせない。
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