警察の「職務質問」は一体どこまで正当なのか 納得のいかない職質にはこう対処せよ
世界で最も安全な国はどこなのか。様々なデータがあるようだが、日本はどのデータでもトップ10に入っている。確かにわが国の殺人・窃盗・詐欺といった犯罪(刑法犯)は、2002年の約285万件をピークに、毎年約10万件単位で減少し、2015年には109万8969件(交通事故を除く)と、6割以上も減少した(『警察庁 平成27年の犯罪』)。
だが、本来なら犯罪が減ると、警察はその余力を検挙活動に振り向けることで、検挙件数や検挙人員、検挙率も向上するはずだが、なぜかいずれも減少。検挙率は30%前後で推移している。
犯罪が激減した理由について、警察官僚らは、地域住民や企業、地方公共団体、警察その他関係機関が連携し、各種の犯罪対策を展開したことにあるとしている。果たしてこれは本当か。おそらく最大の理由は若年人口の減少だろう。いずれにせよ警察官僚らにとって、犯罪の激減は、予算や人員の合理化(削減)に繋がりかねない、頭の痛い問題なのだ。
市民を守るはずの警官は13万人
警察の表の顔として、警察署の交番・駐在所や自動車警ら隊、鉄道警察隊といった、市民の安全を守る地域警察がある。このほか犯罪捜査の刑事警察、少年補導や犯罪予防の生活安全警察、交通取り締まりや事故捜査の交通部門が存在する。裏の顔は市民運動やテロを取り締まる公安だ。
実のところ警察は、警察署の定員や都道府県警察で働く地方警察官(警視以下の警察官)の各部門別の人数を、秘密にしている。『警察白書』によると、地方警察官の定員は、2015年4月現在で約25万7000人だが、これは犯罪が減り始めた2003年に比べて、1万6820人増えている。増えた警察官がどの部門に配置されたのかは闇の中だ。
地域警察運営規則(国家公安委員会規則)は、地域警察について、「市民の日常生活の場において、常に警戒体制を保持し、すべての警察事象に即応する活動を行い、もつて市民の日常生活の安全と平穏を確保することを任務とする。」としている。地域警察で仕事をする警察官の数は、おおよそ全体の6割とされるから、2015年4月現在で約15万4000人である。うち現場で働く「警部補」以下の警察官は、その9割の約13万9000人だ。警察はこの体制で市民の日常生活を守っていることになる。
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