私にも男性の後輩やメンバーをしかったときに失敗した経験はたくさんあります。一方で、「男性だからこうしかるとよい」「女性だとこうしかるべき」という正解はなかったように思います。つまり、個人の特性を捉えて叱ることが大事だということです。頭ではわかっていても、カッとして頭ごなしにしかってしまったり、それに反応しないメンバーにくどくどと同じことを違う言葉で説明してしまったり、まったく思ったとおりにしかれなかったこともたくさんありました。
明らかに私に反感を抱いているメンバーに対して、どこかで「これ以上嫌われたくない」といった心理が働いて、言うべきことをまっすぐに伝えられなかったこともありました。私だけかもしれないけれど、誰かをしかるときの、「あなたのために(言いたくないのに)言ってるのよ」といった、実は自分を守るような発言のニュアンスが、相手をうんざりさせていたかもなぁと今では思います。
しかるのではなく怒って言い放ってしまったことも…
あなたの後輩のように「寝てしまう」のではないのですが、「朝、起きられない」男性メンバーへの指導で苦労した経験ならあります。本人はたくさん目覚まし時計をかけて、友人にモーニングコールをお願いもし、すごく努力をしていたようなのに、どうしても起きられない日が頻繁にあるのです。朝、遅刻の連絡が入るたびに、「何時だと思ってるの!これ以上の遅刻は許されないよ!」としかりつけていました。そして、しかりつけるのに私自身がうんざりしていたものでした。前任の上司に聞いてみると、「誓約書、書かせたりしたけど、やっぱり修正できなかった」「心身の健康問題も疑ったが、それもなかった」と言います。
ある朝、やはり遅刻した彼が出社してきて、私のデスクの前でペコリと頭を下げて、「すんませんでした」と軽く謝罪したのを聞いたとき、私はブチっと切れてしまいました。そして、「時間を守れないなんて、社会人として最低だよ!その謝り方って、反省していないとしか思えないんだけど!」としかるのではなく怒って言い放ちました。そうしたら、彼は、「堂薗さんにそこまで言われたくありません!」と言い返して、ぷいっと外に出て行ってしまったのです。腹が立ちましたねぇ、とても。
その勢いのまま、「なんなの、あれ!」とフロアで言ってしまってから、ふと見まわしたら、みんな下を向いて気まずそうに仕事をしている。対応で失敗した、とわかっても、どうやって修正すればよいのか、途方にくれるような思いでした。
この問題に限らず、彼が私に対して反感を持っていたのは知っていたし、それが「女性に言われたくない」からだとは私は思っていませんでした。ただ、「堂薗さんに言われたくない」と思っていることはちゃんと感じていたのです。なのにそれを言わせてしまった、というのは、かなりの追い詰め方をしてしまったということ。私自身も「遅刻しちゃだめ」と言い続けるだけでは意味がない、と改めて実感しました。
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