軽井沢バス事故に垣間見る「観光立国」の暗部 なぜ貸し切りバスの惨事はなくならないのか

拡大
縮小
ガードレールを突き破り、国道脇に転落。過去30年で最多の死者が出たバス事故となった(写真:共同通信)

「旅行会社からいただく仕事は、大半が基準額を下回っていたのではないかと思う」。バス運行会社、イーエスピーの山本崇人営業部長は1月19日、報道陣の前でこう漏らした。

その4日前の15日未明、長野県軽井沢町の国道で起きた、スキーツアー・バスの転落事故。ツアーに参加していた学生ら、乗客・乗員15人が死亡する大惨事となった。

今回の事故では、定められた基準を下回る運賃での契約や不十分な運行指示書など、バス会社の安全意識の低さが次々と発覚。冒頭の山本部長のコメントは、法令順守の意識が薄かったことを裏付けるものだ。

安全管理の不備が次々と明るみに

同社は、法令で定められた運賃の下限(約27万円)を下回る、約19万円で旅行会社と契約。昨シーズンはさらに低い、13万~14万円で契約していたことを明らかにした。

また、事故時にハンドルを握っていた運転手は、2015年12月の採用面接の際、大型バスの運転に慣れていないと伝えていたにもかかわらず、2回の研修を受けただけでスキーバスの乗務に就いていたこともわかった。

さらに事故の2日前には、前年の監査で乗務員の健康状態把握義務や点呼の実施義務などに違反したとして、国土交通省関東運輸局から行政処分を受けるなど、安全管理の不備が次々と明るみに出ている。

次ページベテラン運転手が明かす実態
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
パチンコ業界で「キャッシュレス」進まぬ複雑背景
イオン、PB価格据え置きの「やせ我慢」に募る憂鬱
イオン、PB価格据え置きの「やせ我慢」に募る憂鬱
「イトーヨーカドー幕張店」激戦区の大改装に差した光明
「イトーヨーカドー幕張店」激戦区の大改装に差した光明
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
半導体需給に変調の兆し、歴史的な逼迫は終焉?
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT