「解雇の金銭解決」はブラック企業を撲滅する 救われる労働者を増やすなら明らかに有効だ

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「解雇を金銭で解決できる」という制度があった場合、確実に救われる人たちとは…(写真:AH86 / PIXTA)

現在の解雇規制の機能不全と、解雇の金銭解決制度の問題を扱う連続特集も、今回が最終回です。前回の記事では、正社員については労働法の厳しい解雇規制があるにもかかわらず、違法にクビにされても、すでに転職を決めている、泣き寝入りしてしまう、裁判制度にムダが多いなどの理由により、救われない労働者が数多く存在しているということをお話してきました。

悪いイメージが先行しているが……

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労働者は、より気軽に金銭要求ができるようにするほうが救われるという現実があります。「解雇の金銭解決」というと、まるで少々のおカネを払って企業が自由に解雇できるかのように聞こえるかもしれませんが、実態はまったく違うのです。今回も、事例を挙げて、解雇されたときの登場人物の心の動きについて考えていきましょう。

事例:Aさん、Bさん、Cさんは、いずれも違法な解雇であるブラック「クビ」にあった。その理由は、深夜にわたるプロジェクトの打ち合わせに残業代が出ないことを指摘したら、「トランプショックもあるし、リーマンショックのように今後の情勢は不透明だ。なのに、お前は権利ばかり主張して仕事への積極的な姿勢がない! もう明日から来なくていい!」という意味不明なものだった。もし、解雇の際に金銭がもらえる制度があったらどうなるのだろう?
①すでに転職を決めているAさん
トランプが理由でクビとか意味不明だけど……、まぁ、あんなオーナーのところではどうせまた別の問題が起きただろうし、転職も決まったから切り替えて行こう! あ、そういえば、最近、解雇されたらおカネ貰えるようになったんだっけ。結局、勤続年数に応じて3カ月分の給料額である70万円をもらえたからよかったよかった。
②泣き寝入りしていたBさん
トランプが理由でクビなんてありえないけど……、もう疲れちゃったな。わざわざ裁判するのも大変だ。あ、でも最近は解雇されたらおカネもらえるんだ。労働局のあっせんじゃぁ、10万円くらいしかもらえないってどっかの記事にも書いてあったしな……。結局、勤続年数に応じて半年分の給料として180万円もらえたからよしとするか。
③裁判で闘おうとしていたCさん
トランプが理由でクビなんて認められるわけがない! 裁判で争ってやる!……と思ったけど、どうやら最近は解雇されたらおカネもらえるらしいね。勤続年数も15年だし……10カ月分! 250万円ももらえるのか! それだったら、裁判までやらなくていいかな……。
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