ゴルフの「キング」はビジネスでも帝王だった 故アーノルド・パーマーが開拓した新世界

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スポーツ選手として、そしてビジネスマンとして偉大だったアーノルド・パーマー(写真:ZUMA Press/amanaimages)

アーノルド・パーマーが9月25日に87歳でこの世を去った。"キング"とたたえられる彼は、ゴルフ界にとってかけがえのない存在であった。パーマーはその生涯に、メジャー7勝(マスターズ4勝、全米オープン1勝、全英オープン2勝)、PGAツアーで歴代5位の通算62勝、そのほかヨーロッパ、シニアツアーなどでも、プロとして勝利を積み重ねている。まさにレジェンドと呼ぶにふさわしいゴルファーである。

もちろん、メジャー優勝数や勝利数でパーマーを超えた存在はいる。だが、ビジネスマンとしてパーマー以上に成功したゴルファーはまだ出てきていない。

 引退後も、80歳を超えても、稼ぎ続けたパーマー

それを如実に物語るのは、フォーブス誌の発表する「引退しても稼ぐプロスポーツ選手」のランキングだ。2015年のランキングで、パーマーはゴルフでは1位に輝き、全体でも3位に入っている。推定収入は4200万ドル(約42億円)である。最後にPGAツアーで優勝したのは40年以上前の1973年。80歳を超えてもこれだけ稼ぎ出している。

パーマーがこれだけビジネスで成功を収めたのは、彼のマネジャーであり、スポーツマネジメントとスポーツマーケティングという新しいビジネスを創り出したマーク・マコーマックとの出会いなしには語れない。

マコーマックはパーマーとの契約をきっかけにマネジメント事業を手掛けるIMG(インターナショナル・マネージメント・グループ)を創業。今やプロスポーツ選手のみならずクラシック音楽、ファッションモデル、スポーツキャスターなどのマネジメントに加え、各種のスポーツ選手権やイベント、テレビ放映権の管理にも進出して、国際企業グループに成長している。

パーマーとマコーマックの出会いは、パーマーの自伝『A Life Well Played』によると1950年に行われた大学のゴルフ試合にさかのぼる。その後、1956年にマコーマックはイエール大学のロースクールを卒業し、弁護士事務所に勤めるとともに、スポーツマネジメント会社ではプロゴルファーのマネジメント業務に従事していた。

1959年にパーマーはマコーマックにいくつかのエキシビジョンマッチをマネジメントしてもらった。その年の終わりに2人で話し合い、パーマーだけをマネジメントすることを約束したことがビジネスの始まりだったという。マーク・マコーマックは自分の著書『ARNIE THE EVOLUTION OF A LEGEND』の中で「アーノルドと私が、1959年に仕事を始めるとき、握手だけで彼には十分だった。それは今日になってもすこしも変わっていない」とIMGが2人の友情と信頼関係でスタートしたことを語っている。

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