大ヒット調理家電、ノンフライヤーの魅力 フィリップス、販売目標を当初の4倍に
ポテトフライ、唐揚げ、エビフライ、とんかつ――。こうした揚げ物が“油を使わず”に出来上がるフィリップスの「ノンフライヤー」が、調理家電で異例のヒットを飛ばしている。現在、家電量販店では1カ月から1カ月半の入荷待ち。フィリップスは、当初5万台(4月末から12月まで)だった日本での今年の販売目標を、4倍の20万台に引き上げた。
ノンフライヤーは、幅28×奥行き38×高さ31センチメートルの丸まった筐体の中に食材を入れて調理する。揚げ物の場合、高速熱風で食材表面の湿気を取り、食材の油で表面を均一に加熱するため、揚げ物特有のサクサクな食感となる。調理途中に食材をひっくり返す必要もなく、調理後は分解して丸洗いでき、食器洗い機にも対応している。現在、家電量販店などでの実勢価格は3万円を少し切る水準だ。
使いやすく、調理の仕上がりもよい
人気の理由は、圧倒的な使いやすさと調理の仕上がりのよさだ。揚げ物を作る場合は、予熱したバスケットに食材を入れ、温度と調理時間の2つのダイヤルを設定するだけ。バスケットのどこに食材を置いても、ムラなく仕上がる。実はノンフライヤーの基本機能はオーブンであり、グラタンやケーキ、魚や野菜も焼ける。電磁波を使っていないため、ゆで卵も調理できる。
日本メーカーのオーブンレンジにも揚げ物調理機能はあるが、熱風を均一にコントロールできるのは、ノンフライヤー独自の丸い筐体設計だからこそ。あえて単機能に絞り込んだことで、徹底的に使い勝手や調理の仕上がりのよさにこだわり、競争力の高い商品となった。
ノンフライヤーは「エアフライヤー」の名称で2010年に欧州で発売されると、たちまちヒットを記録。翌11年には台湾や韓国、中国などでも発売され、同様に好評を博している。日本での発売が遅れたのは、4年前にフィリップスが日本の調理家電市場から撤退していたからだ。「再参入で絶対に失敗は許されない。事前調査に時間がかかった」と、フィリップスエレクトロニクスジャパンのコンシューマーライフスタイル事業部の増田智美さんは明かす。
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