大ヒット調理家電、ノンフライヤーの魅力 フィリップス、販売目標を当初の4倍に

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だが、心配は杞憂に終わった。今年2月に日本で製品発表会を開くと、各メディアがそろって取り上げ、消費者からの予想以上の反響を得た。家電量販店からの問い合わせも殺到した。

フィリップス本社は当初、テレビ通販で使用方法や製品の特徴を浸透させたうえで、店頭販売へ移行するという戦略を描いていた。ノンフライヤーは新しいコンセプトの商品ゆえに、単に店頭へ置いただけでは売れないと考えていたからだ。それが世界共通の戦略でもあった。

日本での発売初速は世界一

ところが日本では、予想以上の反響を踏まえて、通販から家電量販店までをカバーする異例の垂直立ち上げとなった。発売時期を当初予定の4月初旬から、同下旬にずらして対応したほどだ。「日本での販売初速は世界一のペース。店頭で入荷待ちになったのも日本だけ」(増田さん)と対応に追われながらも、うれしい悲鳴を上げる。

すでに100カ国で150万台が出荷されているノンフライヤーだが、半分近くをアジア市場が占めている。韓国やシンガポール、中国で人気を集めているが、日本の販売動向も上々。このため「今年末にアジア市場で日本がナンバーワンになるのが目標」(増田さん)という。

サイズはやや大きめ

唯一、気になるのはサイズだ。ノンフライヤーは一般的な炊飯器より一回り以上大きい。それでも海外では、鶏肉を丸ごと焼けるような大きなサイズも発売されている。揚げ物機能で売れている日本と違って、欧州ではオーブン代わりに使われることも多いという。

かつてフィリップスは技術力を前面に押し出し、多機能型商品を数多く手掛けたこともある。が、消費者目線に立ち返り、シンプルかつ使いやすい商品開発にシフトし、その延長線上でノンフライヤーをはじめとするヒット商品が生まれている。日本の電機メーカーが発売している、スマートフォンと連携させたレシピ機能などを数多く盛り込んだオーブンレンジとは、正反対の戦略が奏功したと言えそうだ。フィリップスは、4年ぶりの調理家電の再参入に手応えを感じ、別の調理家電の発売も検討しているという。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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