もちろん、浅野さん自身、「短時間で成果を出す」仕事術の鍛錬に余念がない。
「1回アポイントが入れば、その1回を有効に使おうと、その日はトコトン付き合う。10時に帰ろうが12時に帰ろうが、子どもは寝ていると割り切って、密度を上げるようにしています。
それは、お客様の訪問にしても同じ。『この1回に懸ける』と、とにかく言いたいことを言う(笑)。病院の先生にセミナーの講師を依頼するときは、通常、『どういった内容にしましょうか?』と聞き、3~4回訪問して内容を詰めていくのが普通ですが、私の場合、いきなり『先生、こんな内容でいきましょう!』と言ってしまいます。先生たちもお忙しいので、そのほうがかえって好都合だと思っていただけることも多いのです」
また、会社にいるときは、自分の部署の同僚のみならず、製品メンテナンス、ロジスティックス、法務など、あらゆる部署の人たちとの「フェイス・トゥ・フェイス」のコミュニケーションを心掛けていると言う。
「メールで済むような要件でも、みなさんの席に行ってお話しし、あいさつします。そして、今、私が進めている商談について、『これから、こう進むかもしれないので、よろしくね』なんて進捗を言っておくのです」
浅野さんが担当する医療機器の営業は、薬事法の関係で、プレゼンの場で「最先端」や「最新」といった惹句は使うことができない。社外に出すあらゆる資料は、法律違反を犯していないか、法務によるリーガルチェックが入る。したがって、仕事は、前倒し、前倒しで進める必要があるが、医療の現場は煩雑を究め、先が読めない。医療機器購入の切り札を握る人物のアポが、急遽、明日、入るなんてこともしょっちゅうだ。
そうなると、相手の都合に対応するため、法務の人に「今日中にチェックしてください」と無理を言うしかない。そんなムチャが利くかどうかは、「日頃のコミュニケーション次第」というわけだ。
第三子の出産は、計画的に
仕事と育児のバランスをつかんだ浅野さんは、昨年、第三子の長女を出産した。
その時期は、計画的なものだったと言う。
「私が担当する血管撮影装置は、以前から、今年4月に、これまでのマイナーチェンジとはケタ違いの画期的な新製品がリリースされることが決まっていました。そして、私は、どうしても、この会社の一押しとなる製品にかかわりたかった。だから、第三子はそれまでに作ろうと決めたのです」
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