必要条件「ガリ勉」を満たしたら、次は?

スタンフォードでは、仕組みを作って合理的に褒める(前編)

アメリカの大学の「褒める仕組み」とは?

さて、前回は専門外にもかかわらず蛮勇を発揮して教育論らしきものを書いたので、蛮勇ついでに、今回はスタンフォード(もしくはアメリカ全般かもしれない)の教育について、僕が「これは良いな」と思っている点を書いてみたい。

一言で表すなら、「褒める仕組み」といったところだろうか。

日本にいたときのことを思い出しながら比べてみても、アメリカでは人のことを非常によく褒めるような気がする。特に勉強ができること、成績が良いことをやたらと褒める。そして、その成果いかんによって徹底的な差別をするのだ。

これは割と有名な話かもしれないが、履歴書に書く学歴について。日本では普通、大学を出た人が履歴書に学歴を書くときは「○○大学卒業」と書くだろう。それがアメリカの場合は、もちろん大学名も書くけれども、その後にもいろいろと続いていることが多い。

たとえば、大学名の後にCum Laude、Magna Cum Laude、Summa Cum Laudeという称号(?)がある。

Cum Laudeというのはラテン語で、(僕は正しい意味を知らないけど)「優等」くらいの意味で使う。もっと良くできるとMagna Cum Laude、いちばん上はSumma Cum Laudeになる。最後のはだいたい日本で言うところの「主席」といったところだと思う(日本の大学で「主席」というと普通は学部あたり1人だったりするようだが、 Summa Cum Laudeは毎年何人かもらうのが普通みたいだ)。

さらに、大学によってはValedictorianというのもあって、僕の知る限りでは、これは学部を横断して特に良くできた学生にあげたりするみたいだ。とにかく、卒業する際には、こういった称号が大学から贈られるわけだ。

また、授業にもいろいろと種類があって、一部の講義科目名にHonorsという言葉がくっついている場合がある。Honorは英語で「名誉」を意味するのだけれども、難しい授業ではその講義タイトルの枕に、Honorsとついていたりするのだ。

たとえば僕が教えている学部生向けの授業はHonors Market Designという授業で、これはMarket Designという授業が別にあるけど、それよりももうちょっと難しめにレベルを設定しますよ、でもこれを履修すると成績表に「Honors」って書かれるから、「よくできました」というシグナルになりますよ、という具合である。

日本でもおそらく「上級○○」というような授業はよくあると思うのだけど、この英語訳であろうAdvancedではなくて「名誉」の意味のHonorsを使うところに、なんというか、大学生にもなって、いい大人が勉強礼讃!という感じを受けて、ちょっとすごい感覚だなあと思っている。

スタンフォードには、学部生の卒業論文の中にもHonors Thesis (Thesisというのは卒論のこと)というのがある。これは卒業論文を特に気合いを入れて書く人が申告するコースみたいなもので、このコースで論文を書き上げると(たぶん)おっ、こいつできるな、って見てもらえるようになるらしい。

Honors Thesisを書く資格を得るためには、成績がある程度良くないといけなくて、そもそもこれを書くこと自体が名誉なことなのだという。

次ページ褒めたり差別したりの特別扱いは続く
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