不妊治療、わたしはこれがつらかった!

今や不妊は国民病です 

「子作りの鬼」と化した妻 セックスが強制労働に

不妊に悩むカップルが、共通してつらいと語るのが、「快楽」であったはずの性行為が「強制労働」に変わることだ。

都内で金融関係の仕事を手掛ける金子純也さん(仮名・40)も、その一人だ。6歳上の妻と結婚したのは5年前。当時妻は、「結婚できただけで幸せ」とかわいいところを見せていたが、結婚後2年間子どもができずにいると、様子が豹変した。

「年齢が年齢だから時間がないと、『子作りの鬼』と化したんです」

一方の純也さんは、「子どもはいても、いなくても」という“自然派”。結婚前は外資系メーカーでバリバリ働いていた妻も、転職してまた働くのではないかと思っていた。

「きっと友達も子連ればかりになってきて、肩身が狭くなってきたんでしょうね。もともと勝ち気なので、人には負けたくないって火がついたのかもしれません」

手始めに妻は、純也さんを不妊セミナーに連れていった。

「都内高級ホテルの宴会場に、200~300人がすし詰めになって、不妊専門医の説諭を聞くんです。妻の表情も真剣そのもの。これは本気だと腹をくくりました」

研究熱心な妻は続いて、「タイミング法」を敢行し始めた。

「毎朝基礎体温を測り、排卵チェッカーなどで排卵日を調べて、『はい、しましょう』という流れ。『今晩は早く帰ってきて』と言われても、接待が入ることも ある。しかも、うちの夫婦は、付き合いが長くて夫婦関係は激減していたので、簡単にエレクトしないこともしばしば。相当な負担でしたね」

「完全にEDになりそうでした」

純也さんの調子が悪く、今日は無理となると、妻の雷が落ちることも多々あった。

「『あなたには子どもを持つ覚悟が足りない、積極性がない』と説教が始まります。さらにひどいときは、『これでまた、私の卵が1000個無駄になったわ』と嫌みを言われることも。完全にEDになりそうでした」

俺は精液を運搬するだけのモルモットかよ――そう嘆く日もあった。無事、排卵日に達成しても、そう簡単には子どもができず、妻がヒステリーを起こす日もあった。

「完全に子作りが職業となった妻は、持ち前の情報収集力を発揮して、一日中『ベビ待ち』という子作り主婦が集まるサイトばかり見ている。排卵後高温期が続 いているのに、ふっと低温になると、『またできないのか』と焦って、質問サイトに『着床時は低温になるのですか?』と質問を投げかける。そして、いい返事 が来てぬか喜びした直後に生理が来て、また荒れる。そんなことの連続でしたね」

それでも1年後、妻は無事妊娠、昨年子どもが誕生したのだから、運がよかった。

「子どもが生まれた喜びもさることながら、妻のヒステリーから解放された喜びでいっぱいでした」

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