不妊治療、わたしはこれがつらかった! 今や不妊は国民病です 

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世界で広がる不妊症。中でも“晩産化”が進む日本の状況は深刻だ。今や男の10人に1人が精子に問題を抱える時代。男も不妊とは無縁ではない。世界のカップルを悩ます不妊症、その最前線を追った(この連載は、週刊東洋経済2012年7月21日号「みんな不妊に悩んでる」を加筆修正したものです)。
不妊治療はつらい長期戦になることもある。大変なのは金銭面だけではない(撮影:山内信也)

不妊治療は楽ではない。精神的・肉体的な苦痛は大きい。4組の夫婦の経験を通じて、不妊治療の“つらさ”を描く。

 「不妊治療」不妊に悩む

不妊治療不妊――。これは不妊治療が及ぼす肉体的、精神的負担のせいで、かえって子どもができにくくなる現象を指す。不妊治療中の女性の間ではよく知られた言葉だそうだ。多くの人がそれほどの辛苦を味わう不妊治療とは、いかなるものなのか?

事業独立準備中の鮎川奈津美さん(仮名・31)、正男さん(仮名・42)夫婦は、まさに現在の自分たちは「不妊治療不妊」なのではないかと悩む。治療を始 め3年目。奈津美さんは情報関連会社の“最年少営業課長”に抜擢されたほど軌道に乗っていた仕事も、昨年辞めた。治療と責任ある仕事の両立は、あまりに困 難だからだ。キャリア志向の強い女性にとって出世の道を断つことがどれほどつらいかは、想像に難くない。

「課長時代は、不妊の検査や治療のため、『直行』とか『直帰』と言っては抜け出していました。でも、それも限界。会社をだましているようでいたたまれなかった」

営業の第一線からある程度時間に余裕のある管理部門に異動させてもらったが、これもあだとなった。

「仕事が合わなかった。不妊治療と仕事のストレスが重なり、心と体を同時に病んでしまいました」

病院を2回変えるなど、医者に恵まれなかったことも災いした。

「最初の個人病院は、私の血液検査と問診をして『まだ若いんだから、大丈夫』と言い、夫の精子を検査するときも『じゃあ、アレをコンドームに入れて持って きて』と言うほどのやぶ医者。データも何も取らず、ただ顕微鏡で見て『動いてますよ』と言うだけの診断では、不妊の理由がわかるはずがない」

そこで地元の名医に診てもらったが、ここの診察もひどかった。

その医院は、「不妊の原因は女性にある」と決め付ける傾向があり、女性を徹底的に検査する。だが、女性の場合、検査内容により検査できる時期が違う。奈津 美さんも、ホルモン検査、子宮卵管造影、卵胞計測、排卵確認のための超音波検査、黄体ホルモン検査など丸ひと月、検査にかかりきりになった。

「特につらかったのが、卵管造影。卵管に管を入れて造影剤を流し込むのですが、子宮が膨らんで、死ぬほど痛い。気絶しかけました」

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