欧州式で本当に育児時短問題を解決できるか

ガラパゴス化している、日本の女性活用【第5回】

仕事と家庭の両立に関して日本と欧州の比較はよく見かける。前回、北欧の施策を取り上げたが、筆者はもともとの労働時間や評価制度、労働観などが両者ではあまりにも違うため、比較には違和感を感じることがある。しかし、欧州は日本の育休や時短勤務(両立支援)を上手に機能させるための条件を見極めるうえで、参考になるだろう。

負担が多くても満足度は高い欧州

多くの日本人がうらやむほど手厚い育児休業中の所得補償や子育て手当などの両立支援のある北欧やフランスは、高い国民負担率(60~70%)でそれらを担う高福祉高負担国だ。たとえば付加価値税(日本における消費税)は20~25%。国民負担率40%の日本とは大きな差がある。

特に国民負担率が高い北欧では、日本では可能な「子供が小さいうちは子育てに専念し、手が離れたらまた働く」という選択肢はない。夫の収入だけでは手取りが少なすぎて家族が生活できないため、妻は望んでも専業主婦になれないのだ。

当然ながら「3歳児神話」はなく、夫婦が2人で働いて稼ぎ、2人で高い税金を払い、2人で家事育児を担いながら人生を共に生きていく。所得の大半を税金で納めながらも国民満足度は高い。

一方、日本では「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に賛成の人は51.6%と過半数で、以前よりも増加している(内閣府「男女共同参画に関する世論調査2012年」)。実際、子育てのために仕事を辞め、家庭に専念する女性は今も多いが、選択肢があるということは恵まれているといえるかもしれない。どちらがよいかは、国民の価値観次第だろう。

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