欧州式で本当に育児時短問題を解決できるか ガラパゴス化している、日本の女性活用【第5回】

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一方、日本では、フレックスタイムや在宅勤務など働き方に柔軟性を持たせる制度は、フルタイムでも仕事に弊害が出やすくなる。長時間勤務が基本で「家庭より仕事」という意識が強いために、ほかと違う働き方はうまくいかないケースが多くなるのだ。これが労働時間も短くなる時短勤務では、さらに問題が出るのは当然のことだ。育休や時短勤務はただ制度だけを導入すると、仕事に大きく影響が出ることがむしろ自然なのだ。

多くの企業では対策が不十分

さて、時短勤務が仕事への影響を及ぼす原因は「人」ではなく「構造」にある。フルタイム時と同じ生産性で働いても、インプット(労働時間)が減るのだから、アウトプット(仕事の絶対量)は当然、減る。そこで、どのように対策を立てるかが重要となる。

必要な対策は以下の4つが考えられる。

① 育児時短者に求めるアウトプット量を減らす

② アウトプットの減少分に対応する人員を補充

③ 時短勤務を前提とした仕事のやり方へ変革

④ 上記を「適切な運営体制」を整備して導入

しかし、多くの企業では、これらの対策は十分には実施されず、時短勤務者が担当できなくなった仕事をほかの社員で分担することが多い。そのため、育休・時短勤務の利用者が増えるにつれ、同僚の負担が増えてしまうのである。

実際、企業に行ったアンケート調査によると「短時間勤務制度導入にあたっての問題点」で最も多かった回答は、「周囲の従業員の業務負担が増えるので調整が難しい」(77%)だった(第一生命経済研究所『ライフデザインレポート』2011年11月)。

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