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進次郎氏らが掲げる社会保障の将来像を読む 「人生100年時代」へ改革はすでに始まった

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授
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ただ、今の仕組みで足らないのは、病気の予防や健康維持へのインセンティブが、公的保険にはほぼないことである。小さなリスクを自己負担にするだけでは、小さなリスクに直面したときでも負担に耐えられない低所得者を助けられない。そもそも、小さなリスクに直面しないようにする努力に報いる仕組み、インセンティブが必要だ。「健康ゴールド免許」は、その方向の先にあるアイディアといえよう。

しっかりしたエビデンスの蓄積が必要

「健康ゴールド免許」は、言うは易し行うは堅し、というのが現状だろう。どういう予防が効果的か、医療も介護もデータに基づくエビデンス(証拠、根拠)が不足している。予防のために健康診断を受ければ自己負担が軽減されるというだけだと、形ばかり健康診断を受けるだけで、実際の医療費が減るとは限らない。ましてや、医療機関を1年間受診しなければ(健康に努めたとみなして)次の年には自己負担や保険料を減免するといえば、過度な受診抑制が起こり、かえって人々の健康を損ねてしまいかねない。先天的に病弱な人の扱いをどうするかという問題も残る。

まずは、どのような取り組みをすれば効果的に予防や健康維持ができるかという、しっかりとしたエビデンスをデータに基づいて蓄積することから始めなければならない。極言すれば、「健康ゴールド免許」は、(匿名性を担保した上で)それに資するデータを提供することに同意すれば、自己負担を軽減するなどという形から始めて、エビデンスが蓄積した後にインセンティブが働く仕組みへと転換するというのも、あり得るのではないか。
 

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